【浦和】ACL4強への鍵は「好プレーの再現性」

浦和の興梠慎三。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

7月以降、ホーム勝利は1-0の仙台戦のみ。大槻監督が指摘した”ぶつ切り感”。

[ACL 準々決勝-1st] 上海上港 – 浦和/2019年8月27日/上海スタジアム

 浦和レッズがアジアチャンピオンズリーグ( ACL )の準々決勝・上海上港(中国1部/現在リーグ3位)との第1戦に臨む。最近のJリーグは2連敗、5試合勝ち星なし(3分2敗)と調子が一向に上がらずにいる浦和だが、今回は直前の松本山雅FC戦(●1-2)で主力選手を温存するターンオーバーを採用。ACLを中心に、タイトル獲得の可能性がある3つのカップ戦(ACL、天皇杯、ルヴァンカップ)に基本的に重点を置いていくことを示唆する起用法を見せた。 

 浦和のパフォーマンスが一向に上がらないのはなぜか? その要因が先日の松本戦後の大槻毅監督の記者会見でのコメントからも浮かび上がる。

「(試合直後で)このゲームをきちんと消化し切れていないところがありますが、局面のつながり、ゲームのつながりみたいなところで、合わない、噛み合わないことが続いている印象がすごくあります。

 追い付けるゲームもあれば、今日のように持っていかれる(追いつかれ逆転される)ゲームもあり、そのギャップをいかに埋めていくか。つながりみたいなもの、フィールド全体のコントロールのところを含めて、まだまだやらなければいけないことがあると思います。

 それはトレーニングの中でサッカーの質を上げていく部分と、例えば運動量を上げて、その質の部分を継続させるようなところ。その両方から取り組まなければいけないと思っています。そういう部分で、人のチョイスを含めてしっかりと考えて、次のゲームに臨みたいです」

 大槻監督はそのように逆転負けを喫した松本戦のあとに語っていた。

 つまり、良いプレーを見せても、単発で続かない。ぶつ切り感がある。それは守備にも言えて、以前は立ち上がりにフワッとした入り方をして失点や決定的なピンチを作られていた。それを改善できてきたかと思うと、松本戦は終盤に宇賀神友弥と槙野智章のクロスへの対応が甘くなり、中央でも森脇良太が高さで後手を踏んで失点を喫した(乗っている槙野であれば、あそこでガツンと相手を止めていたはず)。

 良いプレーの再現性がない。そこが浦和の抱え続ける課題であり、チームとして好循環を生み出せずにいる原因だ。

 べガルタ仙台戦(〇1-0)での岩波拓也→武藤雄樹→興梠慎三と縦に緩急を生んで決めた技あり弾、サガン鳥栖戦(〇2-1)での右サイドの岩武克弥のクロスから、武藤、興梠の”ダブルスルー”を経て、逆サイドにいた宇賀神が突き刺した一撃。いずれも見事なゴールだった。

 ただ、その同じような、あるいは似たようなチャンスを、他には見せられずにいる。結果的に、偶然生まれたゴール、になってしまっている。

 全員が意図を共有し合えるような、攻撃の形を確立できずにいる。

 一つ最近の「形」に挙げられるのが、山中亮輔のクロスからの崩しだ。興梠や関根が決めて”必殺技”のようになってきているのはプラス材料である。ただ山中には守備面での課題が多く「切り札」的な起用が続き、久々の先発起用となった松本戦でもその評価を覆せなかった。

 大槻監督はメディアが使う「修正」という言葉をあまり好まない。良い部分を最大限に引き出すこと、それをつなぎ合わせること、そこをあくまで前提にしている。その過程でより良くするために、課題や問題点に目を当てていこうという考えだ。

 指揮官の就任後、ホームでの勝利は先にも挙げた鳥栖戦と仙台戦の2試合だけ。7月以降は、仙台戦での1-0のみである。もちろんリーグ戦低迷の最大の原因は、もっと大枠のところ(浦和フロント)にあるのは明白だが(その問題は改めて考えたい)、そんな内容と結果では、埼玉スタジアムに興奮をもたらすことはできない。

 そんななか、一つ立ち返るべきポイントとして挙げたいのが、ACL決勝トーナメント1回戦・蔚山現代に3-0の勝利を収めたアウェーゲームだ。

 練習でもテストしていなかったというファブリシオのシャドー起用が的中。ファブリシオの積極的な仕掛けから敵陣を揺さぶり、一方のシャドーの武藤雄樹が前線からのチェイスを怠らず、チームとして高いポジションでコンパクトに戦うことを実現した。この2列目が十全に機能したことで、興梠慎三は勝負どころでゴールを奪うことに集中できて、ボランチの青木拓也とエヴェルトンは絶妙な距離間を保って前線と守備陣を援護。山中と宇賀神の両サイドも冴えた。

 もちろん「やるしかなかった」(青木拓也)という心理が生んだ特別なシチュエーションではあった。が、「ピッチに倒れるな。倒れたほうが負ける」と指揮官が訴えた強いメンタルを貫き、結果を掴んだ試合でもあり、「形」を作るためのベースになるべき要素が、その90分間に多くあったように感じた。

 また、マウリシオがいるかいないかで、チームのパフォーマンスが大きく変わる点も気にところではある。ビルドアップ面で課題のあるマウリシオだが、数的同数あるいは数的不利でもモノともしない無類の守備の強さは、やはり今の浦和には欠かせない。しかも大勝負になればなるほど真価を発揮するのもさすがだ。森脇の最近のリベロ起用は、マウリシオに続く選択肢がなかなかできずにいるチーム状況を物語っている。

 では、今回のアウェーでの上海上港戦、どのような戦い方を見せるのか。理想は無失点で試合を運びながら、アウェーゴールを狙い――1-0あるいは2-0でホームに帰還する――展開だ。が、もちろん、そんなに話が上手くいかないのがACLであり、何が起きるか分からないのがACLの面白さでもある。

 ただ、浦和は自陣にブロックを作る守り方をすると、最近ポジティブな結果を残せずにいる。守り切る「結果」を優先させる戦い方は否定しない。ただ、オズワルド・オリヴェイラ前体制時、そうした戦いをしたあと、必ずと言っていいほど悪循環に陥る”副作用”が起きていたのもまた事実だ。

 上海に乗り込んでの一戦。週末にはベルマーレ湘南戦もある。なんとかして大槻監督の狙う「正のスパイラル」に持ち込むためのキッカケを掴み、ACL4強に向かうための布石を打ちたい。そうして前向きに、ここからの濃密なシーズン終盤戦に向かいたい。

松本戦で今季初ゴールを決めたファブリシオ。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

【浦和】ACL逆転劇の舞台裏。選手への「メンバー発表」も試合直前だった

Topics:AFC ASIA CHAMPIONS LEAGUE(ACL)  – Shanghai International Port Group FC – Urawa reds;Urawa’s theme.

Posted by 塚越始

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