移籍決定の勝負時。堂安と久保をなぜ森保監督は招集したのか?│日本代表
堂安律(左)と久保建英(右)。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
PSVへの合流直後…。
日本サッカー協会は8月30日、9月5日のキリンチャレンジカップのパラグアイ戦(@カシマ)、10日のカタール・ワールドカップ(W杯)アジア2次予選(兼:2023年開催の中国アジアカップ予選)のミャンマー戦(アウェー/@ミャンマー)に臨む日本代表のメンバーを発表した。
メンバー発表の記者会見の席上、話題に上がったのが、移籍が決定したばかりの若きタレント二人の招集についてだ。
この日正式にオランダ1部のFCフローニンゲンから名門PSVアイントホーフェンへの完全移籍が決定した堂安律、さらに、レアル・マドリード、RCDマジョルカへと移籍することで環境を変えている久保建英が、それぞれ招集された。
ある意味、今、サッカー人生の勝負どころを迎えていると言える。ただ日本に渡ることでチームを離れ、所属先とフィットする貴重な時間を奪われしまう。また、時差によるコンディション調整は誰もが苦しんできており、重大なリスクを伴う。所属先に戻ったあと、改めて体調を整えるために時間が必要とされる場合も多々ある。
もちろん、日本代表に選ばれる誰もがそういったリスクを担う。とはいえ、21歳の堂安、18歳の久保、いずれもこれからの日本のみならず、世界的にも注目されるタレントである。
しかも、今回は親善試合とFIFAランキング135位(アジア内26位)のミャンマー代表との対戦だ。正直、そういった個々のハイリスクと照らし合わせると、そこまで無理をして招集すべき相手とは言えない。
8月30日の記者会見、日本代表の森保一監督は「(チーム立ち上げから1年)これまでのベストと言えるメンバーを揃えた」と強調した。今回はまずスタートダッシュの意味合いでも、2022年のワールドカップへ向かい、今後のベースとなる戦いを示したいという意向だ。
そして、二人の招集について、次のように語った。
「コンディションの部分でしっかりチェックし、プレーできるか、パフォーマンスを発揮できるのかは確認してきました。
(チーム内での)立ち位置に関しては、そこは皆さんに詳しくはお伝えできないところはあるのですが、フィジカル的のみならずメンタル面を含め、彼らとコンタクトを取りながら招集に至りました。ただ、久保を含めて、毎回招集が約束されているわけではありません」
そのように、基本的には今このタイミングだからこそ招集した、ということだった。
「次の招集、日本代表への生き残りのところを選手たちは考えてやってくれると思いますので、私はそういった選手のパフォーマンスをしっかり見ていきたいです」
そのうえで、指揮官は改めて、これからも選手を切磋琢磨させていきたいという思いを示した。
「これまで私が代表監督に就任して招集してきた全ての選手がこれからの選考対象であり、まだ招集し切れずにいる選手も多数います。日本代表として戦える可能性を示してくれている選手はまだまだいます。今回の活動はこのメンバーになりましたが、新たに加わってくるメンバーはいると思っています」
現状のベストメンバーということだが、堂安も久保も今絶対に不可欠なメンバーだ、といった話はなかっただけに、やや説得力は欠いた。であれば、やはり……まずは自チームで足場を固めたうえで、日本代表に招集するべきではなかったかとも思えてくる。
もちろん、招集に応じた以上、堂安、久保は、何かしらインパクトを残して、それぞれのチームのスタッフ、そしてファンにもアジアの地から”メッセージ”を届けたい。
日本代表の今回の招集メンバーは次の通り。
【スタッフ】
監督 森保 一
コーチ:齊藤 俊秀
フィジカルコーチ:松本 良一
GKコーチ:下田 崇
【選手】
GK
川島 永嗣 (RCストラスブール/フランス)
権田 修一 (ポルティモネンセSC/ポルトガル)
シュミット・ダニエル(シントトロイデンVV/ベルギー)
DF
長友 佑都(ガラタサライSK/トルコ)
吉田 麻也(サウサンプトン/イングランド)
酒井 宏樹(オリンピック・マルセイユ/フランス)
植田 直通 (セルクル・ブルージュKSV/ベルギー)
安西 幸輝 (ポルティモネンセSC/ポルトガル)
畠中 槙之輔 (横浜F・マリノス)
冨安 健洋(ボローニャFC/イタリア)
MF
原口 元気(ハノーファー96/ドイツ)
柴崎 岳(デポルティボ・ラ・コルーニャ/スペイン)
遠藤 航(VfBシュツットガルト/ドイツ)
伊東 純也(KRCヘンク/ベルギー)
橋本 拳人(FC東京)
中島 翔哉(FCポルト/ポルトガル)
南野 拓実(ザルツブルク/オーストリア)
板倉 滉(FCフローニンゲン/オランダ)
堂安 律 (PSVアイントホーフェン/オランダ)
久保 建英(RCDマジョルカ/スペイン)
FW
永井 謙佑(FC東京)
大迫 勇也(ヴェルダー・ブレーメン/ドイツ)
鈴木 武蔵(北海道コンサドーレ札幌)
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[文:塚越 始]
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