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本田圭佑の移籍条件とハードルを整理。マンUに続きミランにもオファー要求

日本代表での本田圭佑。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

2年間欧州でのプレーなし、カンボジア代表との兼ね合いもネックに?

 昨季限りでオーストラリアのAリーグを退団し、フリートランスファー(無所属)となっていた元日本代表の本田圭佑が9月30日、自身のツイッター( アカウントは@kskgroup2017 )から、イングランド・プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッド ( @ManUtd )に続き、古巣であるACミラン( @acmilan )にもオファーを直談判した。

 本田は30日夜、ミランに向けて次のようにつぶやいた。

I have always wanted to help you. Call me when you need me! @acmilan

「私はいつでもあなたを助けたい。必要でしたら連絡ください! ACミラン」
 
 また、本田が9月28日にマンチェスター・ユナイテッドに向けたメッセージは、次の通りだった。

Give me an offer. I don’t need money but I need to play with great team and great team mate! @ManUtd @ManUtd_JP

 「オファーを下さい。お金は必要ありません、ただ私は偉大なるチームと偉大なるチームメイトとのプレーを必要としています! マンチェスター・ユナイテッド 同日本語版」

 やはり、今回は二度目のSNSからの懇願で、ややインパクトは弱まったと言える。が、イタリアやミラニスタへの訴求力は高かったようだ。そういったイタリア語(スペイン語)圏の関心を引き出す狙いもあったと言えるか。

 とはいえ、少なからず本田に焦りがあることも感じられる。こうした行動が、かなり思い切った豪胆な一手とも受け止められる一方、なりふり構わず、と思われても仕方ない。

 ここで改めて、本田が現在希望している新天地の条件と、それをクリアするための「ハードル」を整理したい。

 本田は9月16日、日本テレビの『ニュースZERO』に出演し、東京五輪でオーバーエイジに選ばれ、自身の最大の目標である「世界一」に懸けたいという思いを吐露していた。

「(引退してしまうのではないかという話に)オファーはあるので、引退はしないです。(2020年の東京)オリンピックもあり、ちょっと来てほしいというところからオファーがないので、今ちょっと片思いなところがあります。正直、待っているところはあります」

「来年の東京オリンピックに出て、そして勝つ、ということを自分の中で決めているので、ヨーロッパの納得のいくクラブでプレーする。そこが、僕の決めている条件です」

 そのように、東京オリンピック日本代表チームのオーバーエイジに選ばれるために、クラブの「格」にこだわっていることを語っていた。さらに強調する。

「(欧州1部?)それはもちろんですし、レギュラーとして試合に出ることで確実にオーバーエイジとして選ばれるような場所。そこで出られれば、必ず選ばれるようなクラブやリーグを考えています」

 また、2022年のワールドカップ(W杯)で世界一を目指すという4年後まで絵を描くことは難しいが、2020年の東京五輪であれば、最高の本田を見せられるという自負も示していた。 

 そんななか、大手メディア『FOX スポーツ』が9月24日、「負傷者のクライシス(危機)にあるマンチェスター・Uが加える可能性のある5人のFW」と題するレポートを掲載し、5人の中で本田を推薦したのだ。そして、「マンチェスター・ユナイテッドは今後、数週間のうちに、フリートランスファーの市場に参入する可能性があります」と記した。

 記事では本田について、「Aリーグで19試合8ゴールと堅実な結果を記録して昨季限りで退団。もしも獲得するのであれば、ユナイテッドはこの33歳のカンボジア代表での監督(マネジメント)業務に、ともに取り組むことが求められます」と触れていた。

 一方、これまでヨーロッパのメディアが本田の移籍について課題に挙げてきたことが二点ある。

 一つ目が、日本代表としてワールドカップでは実績のある本田だが、すでに2シーズン、欧州トップリーグから離れていることだ。2年前のCFパチューカは中南米の名門ではあったが、昨季のメルボルン・ビクトリーはアジア・チャンピオンズリーグ( ACL )のグループステージで敗退するレベル。ボランチとしての可能性も示し、上記のような安定してゴールに絡めたところはアピールポイントになるが、決して欧州サイドからは「プラス材料」に思われていない感はある。

 加えて、カンボジア代表のゼネラルマネジャーとして実質監督を務めている点が挙げられる。やはり、33歳という年齢を考えると、セカンドキャリアを見据えての取り組みとも捉えられる。本田の言うビッグクラブにとっての強化と勝利に直接的にはつながらず、その活動とのバランスを取るのは難しいと言わざるをえない。もちろん、全面的にバックアップする、というクラブが出てくる可能性は十分ある。が、それを基本的に勝利至上であるビッグクラブに求めるのは、加入へのハードルを上げている。

 左利きでウイングとセンターフォワードをこなせる――。そうした選手は貴重なだけに、間違いなくかなりのクラブがリストアップをしているだろう。ただ、具体的な交渉までには至らず、ここまで来てしまったようだ。

 今まで報じられてきたところでは、ヨーロッパリーグ( EL )進出を決めた浅野拓磨が所属するセルビアリーグのパルチザン・ベオグラード、さらにマンチェスター・ユナイテッドと同じくアタッカーに負傷者が出た酒井宏樹の所属するフランス1部リーグのオリンピック・マルセイユが、本田をリストアップしたと言われてきた。が、確かにこうしたクラブは、本田の希望する「格」とは合致しないクラブにあたるか。あとは、こうした状況をトルコメディアもかなり熱心に報道している。ということは、イスタンブールに本拠地を置くクラブも……!?

 例えば、本田がカンボジア代表監督、あるいはクラブの「格」のどちらかを譲歩する。そうすれば選択肢は広がってきそうではある。

「交渉」はある意味、どこかでそれぞれの立場での妥協が必要になる。それが譲れないところに関われば、交渉は決裂する。

 本田も「世界一」に向けたラストチャンスへ、どこにプライオリティを置くのか。そのあたりが、大逆転へのポイントになるか。いや、それでもすべてを貫き、すべてをモノににしてこその本田か――。無論、本田にとっては、そんなこと言わずもがな、だが。

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