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湘南パワハラ問題。クラブは指揮官復帰を検討、曺監督「信頼回復に努める」

湘南の曺貴裁監督。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

眞壁会長「曺自身もエネルギーが生まれてこないようではとても指揮は執れない。難しい状況」。

 公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が10月4日、湘南ベルマーレの曺貴裁監督のパワーハラスメント(パワハラ)疑惑に関する「湘南ベルマーレに関する通報などにかかる調査報告書(要約・公表版)」を発表。Jリーグは曺監督にけん責と5試合の出場停止、湘南にけん責と制裁金200万円の制裁を科した。

 その制裁を受けて、湘南の曺監督はクラブを通じて、次のようにコメントを発表した。

「この度は、Jリーグ及び湘南ベルマーレを支えて頂いている選手、スタッフ、サポーター、スポンサーの皆様及び関係者の皆様並びにその他の多くの関係者の皆様に多大なご迷惑とご心労をおかけして誠に申し訳ありませんでした。

 この度のJリーグの調査結果に基づく裁定のご判断を真摯に受け止めるとともに、私の指導や言動等により苦痛を感じられたという関係者の皆様からのお声を自分自身の問題として重く受け止め、今後の人生において同様の事態に至らないよう、内省を深めていきたいと考えております。

 指導者を始めて以来、選手の成長が勝利につながりその結果チームも選手も同じように成長していく、そういうチームと個人の成長に力を貸したいという思いだけでこの仕事に携わっている意識でした。

 たとえ、その時点でつらさ、苦しみがあったとしても、それを乗り越えてこそ人は変われるし、また次のステップに行くパワーを自分で作っていける。そのパワーそのものが人の感動を生み社会に貢献できるだろうという信念は今でも変わらない気持ちです。

 しかしながら、それを思うばかり受けた人に対する行き過ぎた指導が今回の事を招いてしまったのだと自分の指導者としての至らなさを皆様からご指摘頂いたと思います。これから直面する事態に真摯に向き合い、このようなことがあったからこそ更に大きくなれたと言えるようにまっすぐ向かっていきたいと思います。

 最後になりますが、サッカーに携わる全ての関係者の皆様、トップチームを夢見て日々練習を続ける子どもたち、本当に全ての人に心より謝罪をしたいです。今後は、受け手に伝わる愛情と敬意を持って向き合い、信頼回復に努めていきたいと思います」

 また、湘南のスポンサーである、RIZAPグループ株式会社、株式会社三栄建築設計もコメントを発表した。

▼RIZAPグループ株式会社

一部報道について

 日頃より、当社グループのサッカーJ1リーグ所属チームである、湘南ベルマーレへの温かいサポートと熱い声援をありがとうございます。

 今回の一連の騒動では色々とご心配をおかけいたしました。

 当社グループにおきましては、パワーハラスメント行為につきましては許されるものではなく、あってはならないと考えております。今回のJリーグの調査を通じて一定の結論をみました。

 RIZAPグループの湘南ベルマーレとして本件の結論を真摯に受け止め、改善すべきことは徹底して改善し、反省すべきことは反省し、いい節目になったと受け止め、前に向かって進んで参ります。

 湘南ベルマーレのスローガンは「たのしめてるか。」

 私たちは、どんな時でもスポーツを「たのしめてるか。」を大切にします。残り7節楽しみながら必ず結果を出す。総力を挙げて、試合に挑むことで良い結果が出ると信じています。そうする事で、今回の一件が日本におけるスポーツ業界の底上げになると思い突き進んで参ります。

▼株式会社三栄建築設計

湘南ベルマーレに関して

 この度、報道されておりますサッカーJ1リーグ所属チームである湘南ベルマーレ、曺 貴裁(チョウ・キジェ)監督による一連の騒動につきまして、下記のとおりコメントさせて頂きます。

 株式会社三栄建築設計は、株式会社湘南ベルマーレの株式を51%所有する「メルディアRIZAP湘南スポーツパートナーズ」の筆頭株主であります。

 チームの運営及び経営については、ノウハウのあるRIZAPグループ株式会社に委任し、チームに対してはユニフォームの胸スポンサーとして、湘南ベルマーレを応援しております。

 本日、Jリーグの会見が行われましたが、その内容については、筆頭株主としてコメントは控えさせていただきます。

「プロスポーツ」という独特の厳しい世界の中で、すべての責任が監督にあるということはなく、一部行き過ぎた行為はあったにせよ、指導者のパワハラの線引きは非常に難しいものと認識しており、スポーツ界全体で、明確なルール作りが急務であると考えております。

 湘南ベルマーレはJリーグからの処分を受け、今後の指揮について未定ではありますが、曺監督が湘南ベルマーレのプレースタイルに大きな影響を与え、チーム強化に尽力してきたことは間違いなく、チーム及び曺監督は既に、長い時間の中で反省していることも踏まえ、さらに皆さまから愛されるプロサッカーチームとして改善し、再び指揮を執っていただくことを当社は期待しております。

 現在、チームは厳しい状態ではありますが、本件を節目として、再び「湘南スタイル」で勝ち星を積み重ねて頂けると信じております。湘南ベルマーレを応援しておりますサポーターの皆様、関係各所の皆様とともに、再び「感動を与える湘南ベルマーレ」を信じてチームを支えてまいる所存でございますので、引き続きチーム、そして監督を信じて応援いただけます様、よろしくお願いいたします。

以上

 さらに、4日に行なわれた湘南の記者会見の内容が、クラブ公式ホームページに掲載された。曺監督の進退について、眞壁潔会長は次のように語っている。

「Jリーグからは5試合の出場停止、また自粛期間を含むという裁定をいただきました。ただこの間、Jリーグの調査が終わって曺と話していいよということになってから、たくさんの会話をしてきました。大変落ち込んで、反省をしてという日々だったと思います。皆さんご存知のとおり曺監督のサッカーとは、選手やスタッフもそうですが、曺自身もエネルギーが生まれてこないようではとても指揮は執れないと考えています。今日この通知を受けて、また難しい状況の中を向き合って検討していきたいと思っています」

 そのように、クラブは指揮官の現場復帰を検討。しかし今後については、「未定」であるとした。

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[文:サカノワ編集グループ]

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