GK飯倉大樹が語った神戸での充実の日々「蛍、高徳のストイックさが俺に合う」
川崎戦で勝利を収めサンペールと抱き合って喜ぶ神戸のGK飯倉大樹。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
「すぐに馴染めたのは蛍のお陰」
[J1 28節] 広島 – 神戸/2019年10月5日16:00/エディオンスタジアム広島
この夏に横浜F・マリノスからヴィッセル神戸に完全移籍したGK飯倉大樹が、新天地で充実の日々を送っている。先週末にリーグ2連覇中の王者・川崎フロンターレ戦に2-1で勝利を収め、自身も試合終盤にビッグセーブを見せるなど貢献。最近4勝1敗と好調なチームを支える。
「難しい相手(川崎)に対し、やりたいサッカーの6、70パーセントぐらいは出せた。ワンランクアップするために、もう少し前線の動きが効率的になる必要があるかなとは感じた。そのなかで2点取れたのは、少しずつ自信を持ってサッカーができている証拠」
33歳になる新GKは、ドイツ人のトルステン・フィンク監督の志向するスタイルへの理解を急速に深める。リードを奪ってからも、最後尾からも高い位置に”プレス”をかけにいき、それを守備陣に徹底させたのは、「しっかりボールへアプローチすることが大事。後手になるとフロンターレは上手いから、ギャップを作られやられてしまう。それを避けるため、早めに前から行っていました」と説明していた。
7月29日に神戸に合流し、2か月が経った。これまでリーグ6試合に出場。キム・スンギュが退団した神戸のゴールマウスを、さっそく飯倉のカラーに染めて、最後方からビルドアップに加わるとともにミドル、ロングレンジにもキックを放って、チーム全体に躍動感をもたらしている。
「環境が変わって、自分も新鮮な気持ちでやれている。それが結果に結びついてきている」
山口蛍、酒井高徳……ロシア・ワールドカップ(W杯)に臨んだ日本代表コンビと、さまざまな意見を交わし、ともに練習に励む。飯倉自身が学び得ることも多いという。
「高徳も蛍も、サッカーに対する姿勢がすごく似ていて、あいつらストイックで、俺もそういうのが好き。3人でもいろいろ話している。そういったなかで、チームが変わっていく。これまでは蛍が一人で抱えてきていたことを、俺が来て、高徳が来て、いろいろ良い意味で分散できている。俺がチームにすぐ馴染めたのは蛍のお陰だったと感じる。もっと良くなっていくと思うよ」
それぞれ特別な武器を持つ「個」をいかに結び付けて、チームとしてのパワーを発揮するか。そんな課題を抱えてきた神戸が少しずつ「回答」を出し始めている。
「いい選手が来るけれど、点と点で線にならないことがずっと課題だった。もちろん良い時も悪い時もあるけど、プロとしての姿勢をチームに落とし込めれば、もっと良くなっていけると思う。みんなの『勝とう』と思っているベクトルが、同じ方向へ向いてきている」
神戸は5日、サンフレッチェ広島と対戦する。飯倉もスターティングメンバーに名を連ねた。今季初の3連勝なるか――。
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[取材・文:塚越 始]