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札幌初の決勝進出も涙…ミシャ監督が驚き発言!?「解雇とは野々村社長からまだ言われていないが」

札幌のペトロヴィッチ監督。写真:徳原隆元/(C)Takaoto TOKUHARA ※JリーグG大阪戦より

VARが導入されたものの、判定にはやや不満。

[ルヴァン杯 決勝] 札幌 3(4PK5)3 川崎/2019年10月26日/埼玉スタジアム2〇〇2

 ルヴァンカップ決勝、北海道コンサドーレ札幌のミハイロ・ペトロヴィッチ監督はクラブ史上初のカップ戦決勝進出を果たし、タイトル獲得まで、あと1勝……あと1歩のところまで迫りながらも、手の平からこぼれ落とした。

 川崎に劣勢を強いられながら、札幌に勝機は何度も訪れた。

 まず開始早々から押し込まれながらも、10分に菅大輝のゴールで先制に成功する。川崎のシュートはポストを叩くなど運も味方につけたかと思われたが……。前半のラストプレーとなったコーナーキックから阿部浩之に決められ、同点に追い付かれてしまう。

 90分間の試合終了間際、深井一希の起死回生のヘディング弾で2-2に。そして延長戦、相手に退場者が出て、数的優位に立った直後、福森晃斗のジャックナイフのような直接フリーキックで切り裂き、3-2とリードを奪ってみせる。

 明らかに札幌に運が来ている。

 そう思われたが、10人になっても攻撃の手を緩めない川崎の小林に109分、またしてもシュートを決められ、振り出しに戻された。

 さらにPK戦。川崎の4人目のキッカー車屋紳太郎が失敗し、最後は石川直樹が決めれば優勝、あと1本まで迫った……。ところが、そこから石川、進藤亮佑と二人連続でGK新井章太に止められ万事休す。優勝の女神が笑いかけた瞬間、そっぽを向かれた。

 札幌のペトロヴィッチ監督は「川崎、札幌にとって、非常にいいサッカーができて、観ている方にもとても楽しんで頂けたと思います。これまでの歴史の中でもベストな決勝の一つに数えられるのではないでしょうか。勝利に限りなく近づいたが、そのチャンスを生かすことができませんでした」と振り返った。

 一方で「判定のところは、あまり言いたくはありませんが、私たちの1、2失点とも、疑問の残る判定だったかなと思います」と疑問を口にした。

「今日はVARが導入された試合での判定でしたが、ただ、1失点目、2失点目は疑問に残りました。日本ではこうした公式の記者会見で、判定について語ることはタブー視されていることは知っています。ただ、例えば2点目はハンドかどうか際どいシーンでした」

 そして指揮官はうそぶいた。

「そうしたなか、(もしも誤った)判定で負けてタイトルを獲れず、私が解任されたとしましょう。それでタイムアップを迎えたあと、仕事を失うかもしれないのが、サッカーの仕事。そうした厳しい職業です。まだすべて映像で確認したわけではありませんが、何とも言えません。ピッチで見ていた私としては、若干、疑問の余地はあるかなという感想です」

 いずれも、映像でも難しい判定ではあった。いずれも「事実=ファクト」の確認のため、主審が映像を見て確認するオンフィールドレビューは採用されなかった。果たしてそれが妥当だったのかは、今後の課題にもなるか。

「ただ、敗れましたが、まだ野々村社長からは解任されるという話はされていません。明日、どう言われるかは分かりませんが(笑)」

 もちろん冗談ではあるが、そのように指揮官は記者会見を締めくくった。

 菅、深井、福森と突き抜けていったが、とりわけ福森をPK戦で欠いたのは痛かった。PKあと1本、リードしながら残り10分……浦和を率いていた時代にも見た、最後の詰めの一手を欠く既視感のある大一番での負け方(PK戦ではあったが)でもあった。

「ここから私も学ばなけばいけません」と62歳の指揮官は優しく微笑んだが、とても悔しそうだった。

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[取材・文:塚越 始]

Topics:J.LEAGUE YBC Levain CUP FINAL;Hokkaido Consadole Sapporo 3(4PK5)3 Kawasaki Frontale 

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