【アジア女子選手権】ベレーザ待望の国際舞台、清水梨紗「いいサッカーしているねって知ってもらいたい」
パイロット版女子アジア選手権の江蘇蘇寧戦で先発した日テレ・ベレーザの清水梨沙。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
4か国によるパイロット版大会。江蘇蘇寧のタフさに苦しみ初戦ドロー。
変化は30分に差し掛かろうとしていた頃に訪れる。プレーが止まるたびに中盤、最終ラインの選手たちが頻繁に話し合うようになる。
「CBがフリーでボールを持てていても“持たされている”だけ、と。穴を作ればカウンターで狙ってくる。失点をしてしまっていたので、インサイドハーフがケアしていったほうがいい」
その時間帯を右サイドバックの清水梨紗は振り返る。
さらに清水は膠着する攻撃面に「苦しいときこそ必要だ」と明言していたダイレクトパスで変化を加えていった。
35分。清水のダイレクトパスを、田中、長谷川、遠藤純とテンポよくつなぎ、最後はマイナスへのパスを、籾木がフィニッシュするというベレーザらしい攻撃を見せた。
57分。籾木からパスを受けた清水がすぐさまダイレクトで中央へ。それを田中がキープして、さらに長谷川までつなげてチャンスになったが……シュートに持ち込めず。
それでもこの2本のパスから展開された攻撃は江蘇が背中を向けて追う形に持ち込めた数少ない機会を作り出した。
清水が悔しがったのは、後半の決定的な攻撃を何度もファウルで止められたこと。それもまたなでしこリーグではない展開だった。
「自分たちのチャンスだ! って思うところで早めにファウルで止められてしまった」
ベレーザが攻撃のスイッチを入れようとする直前、その進行を止めるという江蘇の危機対策は確かに徹底されていた。
それでも残り15分、江蘇の守備陣も足がつりそうで気にする仕草が増え、かなりのダメージを受けていることは見て取れていた。それだけに、追加点が奪えなかったことが悔やまれた。
「ベレーザの良さはポゼッションやポジショニング。海外のチームと対戦する時はやっぱり国内のリーグと変えていかないといけない。もうちょっとマメにするのか、大胆に取ってみるのか。今日の試合でみんながいろんなことを思ったはず」
清水はそのように振り返った。
なでしこジャパンとして多くの国際試合を戦っていても、クラブチームとして戦うのは全く別物。果たして日テレ・ベレーザは”世界の中”でどのようなレベルにあるのか? これまではそれを試す機会がなかった。今大会はパイロット版とはいえ、そんな切望してきた国際舞台でもある。
「やりにくい相手でドローだったけど、自分たちがやっていたことは間違っていないと思った。アジアの人たちにもベレーザのことを知ってもらいたい。いいサッカーしてるねって。あと2試合、もっとベレーザらしさを出したい」
清水はこの大会で、ベレーザのチームの新たな伸びしろを知り、そして総合力を高めていけると確信している。
中1日で行われる第2戦は、地元・韓国の仁川現代製鉄レッドエンジェルズと対戦する。初戦では、オーストラリアのメルボルン・ビクトリー(オーストラリア)に4-0の大勝を収めおり、優勝候補になってきそうだ。
初代アジア女王になるためには勝たなければいけない楽しみな一戦だ。初戦で出た課題をクリアし、研ぎ澄まされたベレーザのサッカーを見せたい。