W杯落選のFW田中美南がなでしこ復帰。ベレーザで進める自己革新「今楽しいっスね」

ノジマステラ戦で4ゴールを決めたベレーザの田中美南。写真:早草紀子/(C)Niriko HAYAKUSA

ノジマステラ戦、GKとの一瞬の駆け引きからファーに決めたゴールが示す進化の証。

 10月6日に静岡(IAIスタジアム日本平)で行われるカナダ女子代表との国際親善試合で、田中美南(日テレ・ベレーザ)がなでしこジャパン(日本女子代表)へ返り咲くことが決まった。

 田中は絶好調だ。先週末9月16日のなでしこリーグ12節・ノジマステラ神奈川相模原戦では、怒涛の4ゴールで大爆発した。

 ベレーザが立ち上がりからゲームを支配し、小気味よくパスを回してはいくものの、なかなかフィニッシュまでつなげることが出来ない展開のなか、田中がノジマゴールをこじ開けたのは23分だった。

 最終ラインの土光真代からのロングフィードを最終ラインの裏でピタリと収めたベレーザの9番が、左足を振り抜いた。自身も4ゴールの中でも会心と認めるこの一撃は一見、シンプルなゴールに見えて、実は彼女のこだわりと自信が詰まったゴールだった。

「ニアのオープンに(打つと)見せて、ファーに打つ。最近ずっとやってきました。それでGKは読みづらかったのかなと思います」

 以前の彼女なら、タイミングもクリーン過ぎてGKもしくはDFにチップされているシーンも多かった。それが、打つ瞬間にも駆け引きができるようになったのだと、ストライカーは充実した表情で語る。 

 確かに、今シーズンの半ばに差し掛かった頃からの田中は、いい意味でシュートポイントがかなり絞れてきている。これまではおよそこの辺りという本能で振っていたシュートが、確実に仕留められるゾーンを見極めることができていて、ゴール量産につなげている。

「永田(雅人)監督になって2年。(宮澤)ひなたとか、(三浦)成美とか、今まであまり一緒にプレーしてこなかった選手たちの特長やどういうボールを蹴れるのかが分かってきて、自分のことも理解してもらってきているからピンポイントで合わせられるようになってきたんだと思います」

 何より最も変わったのは田中自身だ。

 周りに“要求をする”ようになったと田中は言う。時にはシビアはものも含まれるが、それを要求するには、彼女自身に周りに受け入れさせるだけのモノがなければ、欲するボールは出てこなくもなる。

「『そこに出してさえくれれば自分は決める!』って責任を持ってやっています。みんながチャンスメイクとか、ボールをいっぱい動かしてくれているので、どこかしらに怖さがないといけない。一発(シュートを)撃つのもそうだし、ゴールに向かう姿勢っていうのは、一番自分が持ってなきゃいけないもの」

 田中はそのように語る。

 なでしこリーグでは3年連続得点王で、2018年のMVPに選ばれた。ところがフランス・女子ワールドカップ(W杯)は落選。その悔しさも糧に、そこからの精神的な成長が、技術を引き上げ、結果につなげている。

 数字的に見れば昨季とは変わっていないかもしれないが、彼女が今、表現しているプレーは「質」がまったく異なると言っていい。

「楽しいっスね(笑)。やりたいことがいっぱいあるんです」

 田中の表情は清々しかった。

 9月22日(17:00/味の素フィールド西が丘)、ホームで大一番を迎える。

 台風の影響で1試合延期になっているベレーザは暫定2位。勝点3差で暫定1位に立つ浦和レッドダイヤモンズレディースとの直接対決だ。

 チームのみならず、個人でも得点ランキングでトップを争う浦和のエース・菅澤優衣香との勝負も見逃せない。ノジマ戦で大量4ゴールを挙げたことで田中は15得点に伸ばしてトップに出た。菅澤も13ゴールで2位につけている。両チームともに、そのエースに最後はボールを集め、ゴール決めさせたい気持ちは強い。この二人を取り巻くさまざまな駆け引きと対決にも注目だ。

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[取材・文:早草紀子]

得点ランキングは浦和の菅澤を抜いて1位に立った!写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
なでしこジャパンへの復帰も果たした。写真:早草紀子/(C)Niriko HAYAKUSA

Topics:NIPPON TV Beleza – URAWA REDS Ladies; Minami TANAKA aims for top scorer.

Posted by 早草紀子

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