引退決断の闘莉王が日本サッカーに提言「どこも綺麗なスタイルで進化を続けているが」

引退記者会見で涙を浮かべる闘莉王。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

「泥臭く、多少は技術が優れなくても、僕のように一生懸命にやって喜んでもらえるような選手も消えてほしくない」

 J2リーグ京都サンガF.C.の元日本代表DF田中マルクス闘莉王が12月1日、都内で引退記者会見を行った。サンフレッチェ広島、水戸ホーリーホック、浦和レッズ、名古屋グランパス、そして京都サンガF.Cと19シーズンに渡ってプレーし、そして南アフリカ・ワールドカップでは日本代表をベスト16へと導いた日本最強の「闘将」が、38歳でスパイクを脱ぐ。

 11月24日のJ2リーグ42節・柏レイソルとのラストゲームでは、前半終了間際に空中戦で味方選手と接触して鼻骨を骨折し、大量の出血を起こした。それでもピッチに戻って「闘う」と訴えたが、さすがにドクターストップがかかり、途中交代を余儀なくされた。結局そのあと手術が必要となったそうで、「まさか最終戦で救急車に乗るとは思わなかった」と笑い飛ばした。

 その現役最後の試合で京都は記録的な13失点を喫した。それもある意味、闘莉王にとって、一つの勲章にもなった。「(J1昇格ができず)本当に申し訳ない気持ちでいっぱいです。一方、新しいスタジアムが完成しましたが、それも、ちょうどいいタイミングだと思いました。若い力とベテランの力をミックスして、『本当に強いな』と思われるホームにしてほしい」と、2020年に供用開始される京都スタジアムでの選手たちの奮闘を期待した。

 そして闘莉王は、Jリーグで求めることについて聞かれ、次のように答えた。

「今は本当にどのチームも綺麗なサッカーで、そして進化を続けています。そういったところがまず求められています。

 そんななかでも、泥臭く。多少は技術がそんな優れていなくても、僕みたいに一生懸命やって、サポーターに喜んでもらえる姿勢をね、なくしてほしくない。そういった気持ちを伝えたいという選手が消えてほしくはない。

 たくさんの人たちがスタジアムに来てくれていて、そういう姿を見たいファンもいると思います。ぜひ、そういうプレーは消えないでほしいなと思います」

 そのように、テクニックが重視されるなか、闘うこと――も人の心に働きかけるために、大切になるのではないか。闘莉王は、そのように訴えた。

[取材・文:塚越 始]

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