【横浜FM】引退決断の栗原勇蔵が語っていた「自分の役目」。みんなが帰ってきやすいように――
横浜F・マリノスのDF栗原勇蔵(右)と李忠成(左)。(C)SAKANOWA
優勝を懸けた最終節、ピッチに立つシチュエーションは訪れるか。
[J1 34節] 横浜FM – FC東京/2019年12月7日14:00/日産スタジアム
栗原勇蔵に話を聞いたのは、11月中旬だった。すでに引退する決意を下していたのかもしれない。あるいは、その頃から行われたというクラブとの話し合いのなかで覚悟を固めていったのか。または、「痛いところ一つなくケガもしていない。そういう意味では後悔したくないところまでは続けたい」と、やはりまだ葛藤を抱いていたのかもしれない。
なかなか出場機会を得られずにいる。ただ、チームはリーグ優勝に向けて猛烈なラストスパートで突き進んでいる(取材時は2位だった)。そうしたなか、元日本代表の36歳のセンターバックは、どんなことを思い、日々練習から取り組んでいるのか。栗原はF・マリノスへの愛着とともに、その理由について少し詳しく語ってくれた。
「僕の役目として、マリノスの選手としてはもちろん。加えて、外に行っていろんな経験をしている人たち、優秀な選手たちも、優秀な方たちもいる。そういったマリノスに関わってきた人たちがなるべく帰ってきやすいような環境にするのも、自分の役目であるのかなと思い始めています。
そういう意味では、長くいる選手って、何人かいてもいいはずだと思ったりもします。自分は18年目ですけれど、次に長くいるのは喜田(25歳、7年目)。まだあんなに若いけれど。その下は、もう(遠藤)渓太ですからね(22歳、4年目)。
もちろん選手の入れ替わりがあるのは良いことだと思います。そういった激しさのなか、一応、そのマリノスを知っていることを、良い方向に持っていけるような、そんな存在でいられればいいかなと思っています」
チームは10試合負けなし、6連勝中。2004年以来15年ぶりのリーグ制覇に向けて突き進んでいる。
「優勝すれば、クラブとしても、またいろんな世界が見えてくると思います」
栗原はそのように、あくまでもクラブの視点から語っていた。
横浜F・マリノスのDF栗原勇蔵として、あと1試合を残すのみとなった。ホームの日産スタジアムでのFC東京戦。「4点差」以上で負けなければ優勝できるという状況である。
その「4点差」がフォーカスされがちだ。ただ横浜FMはその圧倒的な優位を生かし、これまで通り、むしろ今季最高のパフォーマンスを見せるようとするはずだ。チケットが売り切れた日産スタジアムの大観衆の中、栗原がピッチに立つシチュエーションを作り出すことは果たしてできるか――。
※連載「Jの輪」栗原選手は明日6日(金)朝、掲載いたします。
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[取材・文:塚越始]