【浦和】杉岡獲得失敗の背景。積年の課題に「新陳代謝の効率の悪さ」

ACL制覇を逃し、来季の現実的な目標はJ1残留? 写真:上岸卓史/(C)Takasgi UEGISHI

むしろ左サイドは人材過多。改善されないポジションバランス。

 このオフ、浦和について何かを書く時、なかなかポジティブに論じれない。論じても空論に感じられる。そして新たに発足した強化部がスタイル構築のために「3年計画」を打ち出したことで、ひとまず当面は「見守る」というスタンスも大切になる。

 しかし、そうしたなか、オファーを出していた湘南ベルマーレの杉岡大暉の獲得が難しくなったと伝えられた。浦和が長年に渡ってスカウティングしてきたタレントであり、そういった面では、このタイミングで逃したことは痛い。フワッとしたところでは、槙野智章の後継者に、と考えていたイメージは伝わる。が、実際、今後目指すスタイルが曖昧模糊のなか、起用法の具体的なイメージが浮かばないのも現実だった。

 もちろん、チーム内を見渡すと、左サイドは人材がむしろ過多にある。

 宇賀神友弥、山中亮輔、関根貴大、槙野、荻原拓也、それに橋岡大樹や岩武克弥も対応可……。そもそも、宇賀神や関根のように、サイドバックやサイドハーフは育てていくべきポジションではないか、とも言える。もちろん体制と戦い方が固まり、再びチーム状態が上向けば――杉岡への再アタックも考えられる。

 この話題の背景に目を向けてみる。そこには浦和が「結局、変わっていない」と思われる理由の一つでもある、新陳代謝の効率性の悪さが浮かび上がる。ポジションバランスが改善されず、しかもそこにメスを入れようとしてこなかった。

 フロントは「世代交代」を謳うが、そもそも無理に若返りをする必要はあるのだろうか? しかも2010年までのフォルカー・フィンケ体制下で、そのテーマについて一つの答えは出たはずだった。チーム内の競争の中で、自然と変わっていけばいいだけではないか、と。実際、ミハイロ・ペトロヴィッチ体制下では、スタイルが確立されていくなか、関根貴大や原口元気が突き抜けていった。宇賀神は梅崎司らからレギュラーポジションを掴んだ。チーム内の競争を生む意味でも、スタイルこそ何より大切なのだと、あの体制の時に分かったはずだったが。

 土田尚史スポーツダイレクターは強化新体制の発表記者会見で、次のように語っている。

「選手の出し入れが、実は簡単ではない状況ではあります。選手の契約年数は、来年にまたがっている選手がほとんどです。でもその中でもやはり補強を、しっかりポイントを絞ってやっていかなければいけないと思っています。そこのところは今、進めているところです」(クラブ公式サイトより)

 その悲観的と捉えられるコメントに、疑問を持った人は少なくないだろう。むしろ複数年契約を結んでいるということは、クラブが移籍金(違約金)を得られる選手でもある。そして、そういった選手の整理や活かし方こそ、まず浦和の強化部が手を付けるべき、もしくは効果を生み出すべき事案でもある。

 あの選手もいいし、この選手もどこかで使えるかもしれない。そのようにタレントを抱え込んで、パフォーマンスの落ちてきているベテランの域に入った選手も全て残す――という体制になっている。一見、絢爛に見えるが整理できていない部屋のように。この選手を獲得するのであれば、あの選手は思い切って放出する。「入れ=加入」にばかり気が向き、そういったチーム全体を見渡しての「出し入れ」ができない。

 先の土田SDの発言は、言い換えれば、本当は必要でない選手を残さなければいけない、という趣旨に受け止められかねない。選手たちがそこまで言われて、刺激を受けて発奮してくれればいいが、本当にクラブとして「一枚岩」になれるのかと不安を増幅させかねない。

【続く】耐える1年。しかし周囲からは志が低いと思われている。

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