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【千葉】地獄を見た田坂祐介「無事に生還できた」。大ケガから約10か月、フクアリのピッチに立つ

柏とのちばぎんカップで、千葉の田坂祐介(前列左)が復活!写真:石田達也/(C)Tatsuya ISHIDA

ユン・ジョンファン監督の”初戦”に抜擢、「いいフィーリングでできた。結果も出せると思います」。

[ちばぎんカップ]千葉0-2柏/2020年2月9日/フクダ電子アリーナ

 25回目を迎えたプレシーズンマッチのちばぎんカップ、右ヒザの大ケガで戦列を離れていたジェフユナイテッド市原・千葉のMF田坂祐介が4-4-2の右サイドハーフで先発出場し、約10か月ぶりにフクアリのピッチに立った。

 川崎フロンターレから加入した昨季、4月14日に行われたホームでの9節・ファジアーノ岡山戦(△0-0)で先発したものの負傷により25分で途中交代を余儀なくされた。診断の結果、右ヒザの前十字靭帯損傷、内側側副靭帯損傷、内側半月板損傷で全治7か月という選手生命をも脅かす重傷を負った。

 リハビリの日々とプレシーズンを経て、あの悪夢の日から約10か月、フクアリを埋めた千葉サポーターの前に、元気な姿を見せることができた。

「サポーターの皆さんをはじめ、チームもスタッフも自分を支えてくれて、やっと今日、ピッチに戻ることができました。泣くまではいきませんが、嬉しかったですね」

 田坂が笑った。

 立ち上がりに2失点を喫した。しかし、左サイドの堀米勇輝が攻撃に出れば引いてバランスを取り、最前線のクレーベがフリーになればクロスで一発を狙い――34歳のベテランらしい振る舞いでアクセントを与えた。

「0-0で行けたら……と思いました。後半相手(の体力)が落ちてきていたなか、自分たちは前に出て行くパワーが残っていましたから」

 ユン・ジョンファン監督が課してきた3部練習の成果を、田坂も実感する。タフに走り続け、29分にはセットプレーのこぼれ球に反応。ポストを直撃する惜しいミドルシュートも放った。後半勝負に持ち込めれば、オルンガやクリスティアーノをはじめ強力なメンバーで固めた柏にも十分勝機があったはずだと、本気で悔やんだ。

 復帰祝いのゴールをサポーターにプレゼントすることはできなかった。しかし「リーグ戦にとっておきます」と、千葉の背番号6は苦笑いを浮かべた。

 J2リーグ開幕の2月23日、ホームでのFC琉球戦まであと2週間を切った。結果的にチームとしては1ゴールも奪えず課題も見えたが、「戦術理解度を高め理解していけば、もっと効率の良いサッカーになると思います」とむしろ前向きに捉えていた。

 一度地獄を見た男が、ユン・ジョンファン監督の”初戦”で抜擢された。そこに大きな意味が見て取れる。千葉で2シーズン目を戦う田坂は間違いなく2020年、千葉のキーマンになる。

「まず無事に生還できたことが一番。今シーズンはまず大きなケガを再発しないように、やっていきたい。ただ、今日良いフィーリングでプレーできたので、結果も出せると思います」

 田坂はそう言った。さりげなく、強きに。

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[取材・文:石田達也]

Posted by 石田 達也

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