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マリノス愛言いすぎ?GK飯倉大樹は批判も承知「神戸では『結果』で示す」

神戸のGK飯倉大樹。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

古巣相手にビッグセーブ連発、前代未聞のPK戦も元チームメイトのキックを見切る!

[ゼロックス・スーパーカップ] 横浜FM 3(2PK3)3 神戸/2020年2月8日/埼玉スタジアム2〇〇2

 ヴィッセル神戸のGK飯倉大樹が、昨季途中までプレーした横浜F・マリノス相手に試合中に加えPK戦でもビッグセーブを連発し、シーズン開幕を告げるゼロックス・スーパーカップの戴冠をもたらした。

 ダンクレー、トーマス・フェルマーレン、大崎玲という神戸の強力3バックの背後を攻略されても、さらに立ち塞がったのが飯倉だった。シュート数は神戸の6本に対し横浜FMが18本、一歩も引かず再三にわたる好セーブでゴールを死守――。PK戦でもよく知る元チームメイトの癖を見抜き、キック2本を止めるとともにミスを誘発させた。

 一方、試合後のヒーローインタビューでも”横浜F・マリノス愛”を連発。神戸よりもマリノスのチーム名のほうが多く登場することに、神戸サポーターからも”どうなの?”という声が出ている――というちょっとした批判は、実は飯倉の耳にも届いていたそうだ。

 飯倉はマリノス愛を隠さぬ理由を明かす。

「どんなことがあっても、F・マリノスは俺のことを育ててくれた、愛着のあるチームだから。ただ、勝負ごとでは、神戸のために頑張る。だからF・マリノスのことは応援していて、それは変わらない。

 もちろん神戸に行ってからも、あまりに『マリノス愛』を語るものだから、神戸サポーターから、そろそろいい加減にしてくれとも言われている。その意味ではこうして『結果』で示して、サポーターに一つ”そこは違うぞ”というのを見せられたのは嬉しい」

 天皇杯、そして今回のスーパーカップと”決勝”の一発勝負は負け知らずだ。古巣との対戦は、複雑な心境だったとも明かす。ただ、今日は絶対に負けられない。それを誰よりも噛み締めて臨んでいたのは、間違いなく飯倉だった。

「僕がプロになってから長いこと、シゲさん(横浜FMの松永成立GKコーチ)にずっと教えてもらってきて、こうして違うチームでシゲさんにプレーを見せられたのは、個人的にはすごく幸せなこと。シゲさんからプレー面に加え、結果にもこだわるように言われてきたから。マリノス相手で複雑な気持ちではあるけれど、それを表現できた。一人のゴールキーパーとして、シゲさんに恩返しできたと思います」

 ちなみに試合後、松永コーチと言葉を交わした際、「とんでもないPK戦だった、という話はしました」ということだ。

「F・マリノスの超攻撃的なサッカーに3-3のスコアで、最後は勝てた。観ているみんなが楽しめたゲームだったと思います。もちろん内容は詰めないといけない。ただ、今日は皆さんが楽しく見ることができたならば、それで良しとしたいです」

 キャプテンのアンドレス・イニエスタも「何より大樹選手が今日は素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたので、褒めたいです」と、飯倉のことをべた褒めしていた。

 ハイプレスを志向する神戸のスタイルの中で、GK離れした機動力と技術を武器とする飯倉がよりフィットしてきていることも印象付けた。神戸も今季はJリーグの上位に、食い込んできそうだ――。

 J1連覇を狙う横浜FMにとって、飯倉はむしろ面倒な天敵になってくるかもしれない。

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[取材・文:塚越始]

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