【東京五輪】2021年7月23日開幕。森保監督の兼任は難しいが、事実上の「A代表」で挑む手も
2019年11月、U-22コロンビア戦に先発したU-22日本代表(現・U-24代表)のメンバー。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
難しくなったオリンピックチームの位置づけ。今後ほとんど活動できないことを考慮すると――。
国際オリンピック委員会(IOC)は3月30日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い延期の決定した東京オリンピックについて、2021年7月23日から8月8日まで開催することで、東京都、日本政府、東京2020組織委員会と合意したと発表した。またパラリンピックは8月24日から9月5日に設定された。
発表では、あらゆる競技の大会との兼ね合いのほか、交通面、ボランティアの手配、チケット、そして新型コロナウイルスの感染状況などを考慮。夏休み期間の開催が望ましいとして、ちょうど1年を遅らせるスケジュールで落ち着いたという。
サッカー男子に関しては、23歳以下+オーバーエイジが原則とされてきた。ただし東京五輪の登録上の規定は「1997年以降に生まれた者」と記載されている。今回のIOCの発表でも2020年の出場予定だったアスリートの権利がまず優先されることも確認されている(もちろん、予選を勝ち抜いた選手を指すことではあるが)。そういった状況から考えて、来年の大会であっても、特例として「24歳以下+オーバーエイジ」になる可能性が高いと見られる。
とはいえ、日本サッカー協会(JFA)が思い描いてきた、2020年の東京五輪を経て、カタール・ワールドカップ(W杯)最終予選に突入。そして2022年のW杯へ――というシナリオは崩れた。
そして、事実上、森保一監督の日本代表と東京オリンピックチームの兼任は難しい状況になった。
コロナウイルスの感染拡大の影響によって3月と6月のW杯予選が延期されたため、今後は国際Aマッチ優先で改めて難しい日程調整が余儀なくされる。アジア最終予選とオリンピックチームの強化もかち合ってくる。
基本的には日本代表の強化が優先される。そして、24歳あるいは23歳以下、どちらになるにしても、東京オリンピックチームはチームとしての成熟を図ることは難しく、大会やそのチームがどのような位置づけになるのか。それもまた見えてこない。
しかも、Jリーグも過密日程になるため、今年のような強化日程は組めなくなる。また、欧州のクラブから選手を招集する場合、五輪はFIFA管轄の大会ではないため、交渉も必要になる。今年開催であれば東京五輪優先で認められていた選手であっても、1年ずれれば難しい調整が待っているだろう。
森保監督はA代表に専念することになり、果たして、東京オリンピックチームは誰がどのように率いることになるのか。もちろん、東京五輪が実際1年後に開催できるのかどうか、それさえも確証を得られない手探りのなかでの活動を余儀なくされる。
あるいは、森保監督が率いるA代表で、東京オリンピックに臨むというプランもあり得るか。つまり、森保監督がこれまで作ってきた日本代表のラージグループの中から、「24歳(あるいは23歳)以下+オーバーエイジ」で五輪に臨む手だ。もちろん森保監督一人にかかる仕事量、重圧も相当だが、2021年の9月以降の予選、さらにはW杯への強化にそのまま移行していけるなどメリットもある。むしろ、「東京五輪至上主義」から状況は変化しており、柔軟性を持って臨んでも問題ないはずだ。
このほど就任した反町康治技術委員長にとって、さっそく腕の見せどころとなる。今月中にも、両チームの体制について、何かしらのアナウンスが出る予定だ。
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[文:サカノワ編集グループ]