新潟が倒産危機。是永社長「9、10月にはキャッシュがなくなる」
新潟の田中達也。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
非常事態宣言に伴い活動休止、地元テレビで『現実』を明かす。「このまま自然体で進んでいくと――」
おそらく多くのクラブが、大なり小なり似た状況にあるのだろう。新型コロナウイルスの感染拡大に伴いJリーグが中断するなか、J2のアルビレックス新潟の是永大輔社長が4月17日、地元のNST新潟総合テレビとTeNYテレビ新潟に出演し、この状況が続いた場合、9、10月にも資金ショートにより倒産もあり得るという現状を明かした。自身のツイッター( アカウントは @_kore_)でもテレビ出演した際のスクリーンショットを添付するともに”危機”を表明している。
40道府県に非常事態宣言が発出されたたため、新潟は同日から期間未定となる活動休止を決定した。そうしたなか、是永社長は地元ニュース番組のなかで、次のように語っている。
「クラブを維持するためには、毎月1.5億円から2億円が掛かります。このまま自然体で何もないまま進んでいくと、9月から10月くらいにキャッシュがなくなります。つまり、倒産すると。そのキャッシュをいかに集めていくかということを、最優先でやらなければいけないと思います」
これまでJリーグのクラブが、このまま行けば早晩経営の危機に瀕すると各メディアで報じられてきた。ただJリーグによると、4月15日時点では「リーグ戦安定開催融資」の申請はまだないということだった。
加えて、その融資の額では補えないほどの厳しい経営状況にあることも分かった。このほど発表された「リーグ戦安定開催融資の特例」によると、同融資の各クラブへの限度額は、配分金の均等配分を目安に、原則としてJ1が3億円、J2が1億5000万円、J3が3000万円。原資は10億円。融資期間は原則6月末までだが、12月まで延長する可能性もある。返済期間は2023年までの3年間に設定された。今後も柔軟に対応していく。
また、是永社長はツイッターで、「NSTさん、TeNYさん、いつもありがとうございます。アルビだけじゃない。世界中全ての人々が苦しんでいます。一緒に乗り越えよう!」とつぶやくとともに、両メディアに出演した際のスクリーンショットも添付。「地域を守るために(練習を)自粛した」「9月から10月くらいにはキャッシュがなくなる。倒産すると」という字幕が出ている場面をピックアップ。ある意味、ショッキングなメッセージを発している。
放送を見ることができなかった新潟ファンからの質問に対し、是永社長は「すみません。煽るつもりはないのですが、このまま自然体で進むとそうなります、という話です」とも説明している。
4月29日のJ3開幕、5月上旬のJ2・J1再開を目指していたJリーグだが、新型コロナウイルスの全国への感染拡大により、スケジュールは「白紙」になった。当面は6月から、1か月区切りでの再開を目指していく。とはいえウイルスの猛威が広がり続ける現状では、先行きが全く見通せずにいる。
Jリーグの村井満チェアマンは、全クラブが生き乗るためにも「競争のフェーズから共存のフェーズにする(戻す)」と表明している。
むしろ是永社長が「現実」を語ったことで、Jクラブが立たされていた危機が、輪郭を持って表面化したと言える。いくつかのクラブから、これからさらに具体的な動きも出てきそうだ。
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[文:サカノワ編集グループ]