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【鹿島】小泉社長が語ったコロナ禍の危機感と様々なデジタル施策。例えば無観客試合、スマホを振り選手に声援を送るシステムは可能か?

新体制発表会見での(左から)エヴェラウド、小泉文明社長、ザーゴ監督、ファン・アラーノ。(C)SAKANOWA

入場料と物販の大幅減収は免れず、「何もしないわけにはいかない」とデジタルでの具体的な収益化を検討。

 鹿島アントラーズの「オンラインファンイベント『鹿トーク!』」が5月9日にオフィシャルファンクラブの会員を対象に行われ、アナウンサーの河村太朗氏が司会を務め、小泉文明社長(メルカリ社会長)、鈴木秀樹取締役マーケティングダイレクター、中田浩二クラブ・リレーションズ・オフィサーの3氏が▽チーム作り▽マーケット▽サポーターの声――と、3つのテーマについて語り合った。

 このなかで、コロナウイルスの感染の影響によってJリーグが中断するなか、その経営面(マーケット)への影響について、小泉社長は次のように現状を報告した。

「昨年70億円弱の売り上げのうち、10億円がチケット代収入でした。その収入はほぼゼロになる可能性もあります。またユニフォームなど物販も試合がなく大幅に落ち込むことになります。しかし、ゼロに近づくのを何もせず見ているわけにはいかないので、リーグ再開後、デジタルでどのように収益化を図っていくかを考えています」

 そのうえで、例えば、クラウドファンディング、「なげ銭」システム、オークション、さらにはこれまでになかった情報を届けていくサービスなど、ファンに新たな”喜び”を提供することで収益につなげる施策を考えていくと語った。物販に関しても、ユニフォームメインからアパレルなど商材を広げる案も出された。

 また、プロ野球とJリーグが合同で立ち上げた「新型コロナウイルス対策連絡会議」の専門家チームからは、試合はまず無観客で再開することが推奨され、動員する場合も徐々に増やしていくことが望ましいと提案されている。そこで小泉社長はJリーグにも提案しているというが、DAZNやテレビで観戦しながら、スマホを振るとその振動で選手に興奮を伝えるようなシステム、あるいは応援メッセージをスタジアム内に映し出すなど、デジタルを駆使した遠隔から選手とつながれるような”仕掛け”ができないかという話も出た。

 また、小泉社長は「(アパレルなど)ツイッターの投稿の反応などは見ています。ただし、まだまだ手探りで、場合によっては、空振りもあると思います。そこは温かく見守っていただければと思います」と、先が読めないなかで様々なトライをしていきたいと理解を求めた。

 一方、小泉社長はこうしてJリーグがない生活が続いた場合、「週末にサッカーがあった日常から、こうしてサッカーが『ない』ことに慣れてしまう生活に慣れてしまうこと」への危機感も口にした。

 2011年の東日本大震災後で被災したカシマサッカースタジアムに、観客が以前のように戻るまで3年が掛かった。今回はさらに先が読めない。新たな生活様式にもなりそうだ。ただし、そうしたなかで交通面の課題やアクティビリティの充実などの解決を図り、鹿島アントラーズを中心としたスマートシティ構想の具体化など図っていきたいと語った。

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[取材・文:塚越 始]