Jリーグとプロ野球、開催へ道筋が示される。鍵は「緩和後」の20日から31日の新型コロナ感染状況
NPBの斉藤惇コミッショナー(左)と Jリーグの村井満チェアマン(右)。(2020年3月2日撮影)写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
具体的な開幕・再開の日時は決めず。開催後のリスク管理について議論を深める。
一般社団法人日本野球機構(NPB)と公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)による「新型コロナウイルス対策連絡会議」の第7回会議が5月11日にオンラインで行われ、その会議のあと、NPBの斉藤惇コミッショナー、 Jリーグの村井満チェアマン、「専門家チーム」の賀来満夫氏(東北医科薬科大医学部)、三鴨廣繁氏(愛知医科大大学院)、舘田一博氏(東邦大医学部)によるビデオ会議システムによる記者会見が行われた。今回、プロ野球開幕、Jリーグ再開の具体的な日時を決めることはなかった。一方、「出口」を見据える動きが出るなか、試合開催に向けた、具体的な段取りや道筋も示された。座長を務める賀来氏からは「自治体の首長との話し合いをはじめ、しっかりとした関係構築を今のうちにしていただきたい」と提言があった。
新型コロナウイルスは世界的に見ると今なお感染拡大が続いているが、台湾のプロ野球、韓国もプロ野球とサッカーのKリーグ、そしてドイツでもブンデスリーガが16日に再開される予定に。斉藤コミッショナーは冒頭、「日本の現在の緊急事態宣言が発令されている状況下では、まだ予断を許さず、また、2波、3波が来る可能性もあり、本日この時点で開幕と再開の日付を確定することは、ちょっと難しいのではないかというご意見をいただきました」と説明した。
また、新型コロナウイルスは感染から発症まで2週間ほどかかることもある特性から、現在、ゴールデンウィーク明けに自粛が緩和された地域、さらに14日には34県について緊急事態宣言が解除される可能性も高まり、斉藤コミッショナーは「そういった地域の緩和による影響の結果が20日から31日にも分かってきます。その結果が、相当、今後我々の決定に影響するという話をうけたまわりました」と、『緩和後の2週間』を、プロ野球とJリーグの試合開催に向けたポイントに挙げた。
また、村井チェアマンは斎藤コミッショナーの話に補足する形で、「選手を守るための移動リスクの低減や検査体制の議論もありました。また、再開後もどうすればスポーツを運営できるのか。長期の視点で準備をしていかなければいけないという点でも気持ちを新たにしています」と語った。
そのうえで賀来氏は「韓国をはじめ、緩和をした後には必ずと言っていいほど再流行を起こしています。そのため、再流行のリスクを念頭に置いた対応が必要」と、シーズン突入後に、どのようなことが起こりうるのか? を見据えて対策を練ることが、今大切であると指摘した。
そのうえで賀来氏は、「選手・家族の命を守ることがまず最優先すること」を前提としたうえで、「再開後の対策、また例えば感染症者が発生した際の対応を含めた、細やかなガイダンスをこの時期作成していくことが大切になります」と、今後は再開後のプロトコルについても作成していく方針が示した。
そのうえで賀来氏は「自治体の首長とのしっかりとした話し合い、あるいは関係を構築し、総合的にしっかりしていくことが今求められます。いろいろな自治体と今後、プロ野球、Jリーグの皆さんが議論を始めていくことも必要だろうと提言させていただきました」と説明。いざ開催へ――という状況になった時、誤解や齟齬がないよう、現時点で課題について話し合っておくなど、市区町村や都道府県との関係性も重要になると強調していた。
Jリーグは2月16日にルヴァンカップ、21日から23日にかけてJ1とJ2リーグの開幕戦(1節)が行われたが、その後のカードがすべて延期に。現在、スケジュールは「白紙」となっている。6、7、8月と1か月タームでの再開を目指している。
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[取材・文:塚越 始]