【Jリーグ】試合ごとの全選手PCRや抗原検査を推奨。感染症専門家が今後のあらゆるスポーツ大会も見据え
NPB・Jリーグ対策連絡会議の専門家チームを務める、(左から)三鴨廣繁氏(愛知医科大大学院)、賀来満夫氏(東北医科薬科大医学部)、舘田一博氏(東邦大医学部)。(3月12日撮影)(C)SAKANOWA
唾液による検査が主流になるか。
一般社団法人日本野球機構(NPB)と公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が合同で立ち上げた「新型コロナウイルス対策連絡会議」の第8回会議が5月22日にオンラインで行われ、会議のあと、NPBの斉藤惇コミッショナー、 Jリーグの村井満チェアマン、「専門家チーム」の賀来満夫氏(東北医科薬科大医学部)、三鴨廣繁氏(愛知医科大大学院)による記者会見が行われた(舘田一博氏[東邦大医学部]は会議に出席)。このなかで示された新たな提言の中で、「PCR検査などの迅速な対応の準備」と記された。特にサッカーはフィジカルコンタクトが不可欠なだけに、選手の安全確保のためにも、まだ検査自体に課題があるものの、ドイツ・ブンデスリーガのように試合ごとのPCR検査(あるいは抗原検査)ができる体制について検討すべきだと提言が出された。
三鴨氏はその点について、まだ検査の感度や精度不足など課題はあるものの、今後は選択肢も増えていくだけに、積極的に検査を行っていくべきだと強調。それが選手を守ることになり、加えて、社会に対して「安全」をアピールすることにもつながると説明した。
賀来氏は抗体検査も含め、次のように説明した。
「事前検査は、必要だろうと判断しています。今後、例えば東京オリンピックなどの予選を迎えた場合、ある程度、選手同士が互いに不安を持たないで臨むためにも、検査が必要になると考えます」
あらゆるスポーツの大会で、検査がスタンダードになっていく可能性があると見据える。そのうえで三鴨氏も強調した検査の精度不足を指摘し、「そういった点で、私たち専門家もこの提言には(検査推奨を)書き込めずにいました。ただ、例えばPCRは、ロボットを活用した、かなり早いスピードで結果が出るものも間もなく出てきます。また、これからは検査状況も充実していきます。抗原検査も出てきて、これまで鼻腔から採ってきましたが、北海道大学では唾液による検査も出ています」と、検査の選択・内容が急速に充実してきている点が説明された。
「今後迅速にできる意味では、抗原検査(現在感染しているかどうかが分かる検査方法の一つ)も一つの方法論です。これが唾液でできるようになれば、数十分で陽性・陰性か分かるようになります」「まだまだ課題があります。プロ野球、Jリーグの方々と、どういったやり方、どういったシステム、検査体制を作っていけるのか。これからも議論していきたいです」
賀来氏はそのように語った。
また三鴨氏からは、厚生労働省の承認を得られれば、唾液による抗原検査が主流になっていきそうだという見解も示された。
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[取材・文:塚越 始]