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J2のVAR導入論議に拍車か。V・ファーレン長崎『疑惑の判定』でフアンマ弾が幻に。最下位の愛媛FCと痛恨ドロー

(C)SAKANOWA

ゴールラインを割ったようだが…VARなしでは判断難しく。東アジア主要リーグでは、中国、韓国も2部で採用。

[J2 13節] 長崎 1-1 愛媛/2025年5月3日16:03/PEACE STADIUM Connected by SoftBank

 J2リーグ13節、V・ファーレン長崎が愛媛FCと1-1で引き分けて、10位に順位を落とした。

 この試合の34分、疑惑の判定が物議を醸している。

 1-0と長崎リードで迎えたなか、ホームチームがカウンターを発動。松本天夢が抜け出して折り返し、FWフアンマがGK白坂楓馬と競り合ってボールをゴールの枠内へ押し込む。ボールはラインを超えたと思われたが、そこでゴール内にいた細谷航平が右足でなんとかクリアしてみせた。

 ボールが完全にゴールラインを割っていれば得点である。フアンマは、決まっていたとアピール。しかしゴールライン上にいた副審はゴールと認めず。結局、ノーゴールのまま、試合は続行された。

 スローでのVTRを確認すると、複数の確度から見ても、ボールはゴールラインを割って、「ゴールイン」と判定されても不思議はなかった感じだ。

 ただし、J2ではVARが導入されていない。

 今回の場合、副審はゴールライン上にいたが、クリアした細谷の背中ごしにボールが隠れている。そのためラインを越えたかどうか、その瞬間を完全に確認するのは、ある意味“不可能”と言えるシチュエーションにあった。

 こうした疑惑の判定は、基本的にはVARがなければ今後もあとを絶たない。現状では、J1に昇格しなければ、ビデオ判定の恩恵は受けられない。

 ただし、実は中国、韓国の2部リーグでも、VARは導入されている。東アジアの主要プロリーグの2部でVARが採用されていないのは日本(Jリーグ)だけなのだ。

 この日は直後にも、フアンマのスルーパスからマルコス・ギリェルメが抜け出したシーンも、スローで見るとオンサイドのようだが……副審が旗を上げてオフサイドの反則となった。長崎は判定にフラストレーションを抱えて、結局そのあと追い付かれ1-1で引き分けた。

 J2さらにはJ3でのVAR採用の議論は最近聞かれずにいる。 ちなみに、より安価で済むVARライトに関しても、国際サッカー評議会(IFAB)の決定を受けて、日本サッカー協会の競技規則にも2023-24シーズンから盛り込まれている。

 むしろ、実行委員会などで、どうすればJ2以下でもVAR導入が実現できるのか、その視点から話し合っていくべきではないか。こうして、もしかすると自分たちが、J1昇格への、1ポイント、1ゴールを逃すかもしれない状況に置かれているのだ。

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 そんなハンディを乗り越えても、J1に行く力が必要だというのは確かにそうかもしれない。ただ、いずれにせよVARの有無によって、J1とJ2の環境の差は明らかに開きつつある。