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そもそもサッカーは「濃厚接触」か? 専門家が見解を示す。プロ野球とJリーグ合同の新型コロナ対策連絡会議で

NPB・Jリーグ対策連絡会議の専門家チームを務める、(左から)三鴨廣繁氏(愛知医科大大学院)、賀来満夫氏(東北医科薬科大医学部)、舘田一博氏(東邦大医学部)。(3月12日撮影)(C)SAKANOWA

政府専門家チームにも加わる舘田一博氏が語る。先行するヨーロッパでも模索が続いているが…。

 一般社団法人日本野球機構(NPB)と公益社団法人日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が合同で立ち上げた「新型コロナウイルス対策連絡会議」の第9回会議が6月8日に行われた。この会議のあと、NPBの斉藤惇コミッショナー、 Jリーグの村井満チェアマン、感染症対策の「専門家チーム」である賀来満夫氏(東北医科薬科大医学部)、舘田一博氏(東邦大医学部)、三鴨廣繁氏(愛知医科大大学院)がオンラインで記者会見を実施した。

 今後、プロ野球は開幕、Jリーグは再開に向けて、ともにPCR検査を定期的・緊急的(陽性反応が出た場合の濃厚接触者など)に実施していくことで申し合わせた。ただしスクリーニング検査で陽性反応が出た場合、その後、24時間ごとのPCR検査で2度連続で陰性となっても、果たして2週間の隔離が必要であるのかどうか。そこまでの期間は長すぎるのではないか。毎日状況が変わるなか、そのあたりを今後、厚生労働省とも連携しながら協議していく意向が示された。

 こうしたなか記者会見の終盤、そもそもサッカーは「濃厚接触」であるのか? それについて、政府の同ウイルス専門家会議のメンバーでもある舘田氏が興味深い見解を示した。

「果たして、サッカーのプレーや試合が、濃厚接触にあたるのかどうか。個人的には多分あたらないのではないかと思います。もちろん体の接触はあるわけです。それが1メートル以内で、マスクをせず15分間話すことと同じぐらいのリスクなのかどうかと考えた場合、果たしてどうか。個人的にはそこまで高くないのではないかと思います。(欧州では大人数の長期にわたる隔離は減ってきているが?)欧米ではPCR検査をしながら社会を回す、スポーツを動かす、そちらに力を入れる戦略に切り替えています」

 そのように、実は激しいフィジカルコンタクトが多いため感染リスクが高そうに思われるサッカーだが、プレー中に関しては決して感染について“危険”ではないのではないかという見解が示された。

 とはいえ――。舘田氏は注意をうながす。

「もちろん油断はしてはいけませんし、(警戒が)あまりに緩くなってしまっては集団感染の可能性は出てしまい、そのあたりのリスクをしっかり把握しなければいけません。一方で、(日々の状況は刻々と変わっているため)走りながら考えて、エビデンスのもとで、少しずつ緩めていかなければいけないテーマでもあります。どこまでであれば大丈夫か。その落としどころを探していくことが、私たち(専門家チーム)の責任ではないかと感じています」

 日本での新型コロナウイルスは、感染者数を見ると収束に向かいつつあると言える。一方、世界に目を向けると、南米で感染拡大が続くなど予断を許さない状況が続き、この先どのようなことが起きるのか、決して読めない状況にある。ただ、段階的に社会や経済を回していくため、状況を見ながら、臨機応変な対応が大切になるということだ。

 リーグ再開に向けて先行するドイツでも、試行錯誤は続いている。選手に陽性反応が出たディナモ・ドレスデンは、地元保健所の判断により、全体練習に参加していた全選手を一旦隔離にしている。一方、1FCケルンは3選手に陽性反応が出たものの、グループ練習期間だったこともあり、その後、チームは通常通りの練習をすぐ再開している。また、家族に要請反応の出たヴェルダー・ブレーメンの選手は、PCR検査で陰性反応が連続で出たものの、隔離生活を余儀なくされた。

「濃厚接触者」の基準は、日本とドイツは似ている。ただドイツでは州ごとに権限があって基準や規制を決定しているため、クラブごとに対応もまちまちになっている。日本のほうが濃厚接触者の“範囲”は比較的広い印象だ。

 舘田氏の指摘は興味深く、確かにサッカーの場合、もちろんピッチ(グラウンド)上の感染は絶対に避けたいが、むしろそれ以外の移動・食事・ロッカーなどに感染リスクは潜んでいると言えるということだ。試合開催に向けて、様々なガイドラインも日々刻々と変化や修正が求められていく。

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[取材・文:塚越 始]

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