【浦和】今季最悪10億円の赤字を想定、立花社長が経営状況の見込みを報告
ユニフォームを着用してオンラインでの記者会見に臨んだ浦和の立花洋一社長。(C)SAKANOWA
クラブ収益の柱、シーズンチケットの払い戻しを決定。「全額辞退」「半額辞退」の選択も可能に。
J1リーグ浦和レッズの立花洋一社長が6月10日、オンラインでの記者会見を開き、新型コロナウイルスの影響でJリーグ公式戦の中断が続くなか、今シーズンの経営状況の見込みについて報告。一部観客を迎え入れた場合も想定し、最悪の場合、約10億円の赤字を計上する可能性があると明かした。また、クラブは公式戦の日程が大幅に変更になったことから、2020シーズンのチケットの全額払戻しの対応をすることを決定した。
立花社長は記者会見で、次のように報告した。
「再開日が定まり、無観客で始まることが決まりました。その後、(入場者数について)制限のあるなかでの試合になる予定です。埼玉スタジアムで満員のスタンドで開催することは、なかなか見通せずにいます。そうした状況が、リアルに経営として課題になっています。収入減のインパクトに関して、昨年82億円という過去最大の実績を残しましたが、今現在、約20億円の減収を想定しています。また、損益面でもいろいろな取り組みをしていますが、約10億円前後の赤字になる可能性もある状況です」
そのように立花社長は大幅な落ち込みを想定していることを発表し、次のように続けた。
「収入をいかに減らさないか、費用をいかに削減するか。そのためのプロジェクトやチームを立ち上げ、実際に活動し成果があっての状況です。しかしながら、まだまだ新たな取り組みをできる、そういった可能性も感じています。ユニフォームを含めたイー・コマーズ(EC)に関して、伸ばせるのはここだという話をしてきましたが、受注に関しては4、5月の実績で40パーセント以上の伸びを示しています。そういったところを確実に伸ばすことで、より良い事業成績に持っていきたいと考えています」
そういった可能性も一方であることを報告。費用削減の面では、役員報酬の今季15パーセントカットを予定し、クラブスタッフの一時金の削減なども検討していて、「身を削るような対応もしながら、この未曽有の事態を、全員一丸となって乗り切りたいと思います」と語った。こうした状況はクラブスタッフ・選手にも伝えられた。
立花社長は「こうした厳しい状況を乗り越えるためには、日ごろからご支援、声援をいただいているファンとサポーターの皆様、パートナー企業や地域の皆様にお力添えをお願いできればと思います」と、協力を呼び掛けた。
また、シーズンチケットの払戻しは、 今後、案内予定の専用サイトで手続きできる。指定の口座に9月頃の返金開始を予定。RBC会員には別途連絡が入る。1試合ごとの辞退、少額の辞退など、細かな意向を期間内に受け付けることが難しいため、そうした場合、全額払戻しのうえ、グッズやチケットの購入、クラウドファンディングなどで、「クラブをご支援いただけたら幸いです」と理解を求めている。
加えて、シーズンチケットの払い戻し辞退については、「全額辞退」または「半額辞退」を選択できる。
チケット払い戻し、または辞退については、クラブの公式ホームページに詳細が記載されている。
浦和の2019シーズンの入場料収入は、23億0000万円で断トツの1位。2位は横浜F・マリノスで12億8600万円だった。
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[取材・文:塚越始]