浦和がJリーグへ横断幕提出禁止「反対」の意見書を提出。村井チェアマンがコメント「善意のあるサポーターの心であり」と受け止めるものの

浦和レッズのサポーター。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

全国55クラブにも提言書。「せめて統一ルールではなく、各クラブ判断とするべきだと考えます」

 浦和レッズは6月16日、臨時実行委員会でJリーグから公表された横断幕掲出禁止というJリーグ統一ルールに対し「反対」の意を伝える文書を提出したと発表した。あわせて全国55クラブの実行委員に、「日本のフットボール文化の在り方について」の提言書を送った。浦和は「いつどんな時もファン・サポーターとともに戦ってまいります。これからも無観客試合において横断幕掲出許可を求め続けていく所存です」とメッセージを発信している。

 一方、村井満チェアマンは16日の実行委員会後のオンラインによる記者会見で、この件について、「まだ詳細を見ていないので、この場で(書面に関する件)は申し上げることはできません」と断ったうえで、次のように捕捉説明として語った。

「お客様と一緒にリーグを運営したいという思いは、2月から申し上げてきたことでした。リモートマッチ(無観客試合)は最後の手段にしたい、なるべくお客様と一緒に試合をしたいと申し上げてきました。そうしたなか、今回のリモートマッチで、ファン・サポーターが作成するバナーや応援フラッグについて、入場できないのであれば、せめてスタジアムに搬入させてもらえないだろうかという、本当に善意のあるサポーターの心であり、そういった申し出があります」

 この件については、Jリーグの運営者担当会議でも2、3度時間をかけて話し合われ、作業時に密が起こり得ること、フラッグを消毒作業する場合には大変な作業になること、クラブスタッフに受け渡す時の感染リスクが生じること、などを考慮。

 村井チェアマンはサポーターの思いをリスペクトし、その後、実行委員会の席でも協議。「最終的には大多数のクラブが、このリモートマッチ期間に関しては、一定の制限を加えたいという判断になりました」と報告した。

 チェアマンは続ける。

「一方で浦和はサポーターの思いを届けたいという声を最後まで主張していましたし、一定の理のある話でもあり、改めて実行委員会の場でもう一度議論する場を提案したのですが、最終的には皆さんの意思決定があり、最後、私が下しました」

 今回のリモートマッチは、各チーム2試合で終わる予定である。ただ、第2波、第3波が起きた後、万が一、リモートマッチが開催されることになれば、村井チェアマンは「クラブを思うサポーターの気持ちには耳を傾けていきたいと思います。そういった協議があったことを申し上げます」と伝えた。

 浦和が提出した文書は次の通り。

[無観客試合におけるサポーター横断幕について]

2020年6月15日
公益社団法人日本プロサッカーリーグ
副理事長 原 博実様

浦和レッドダイヤモンズ株式会社
代表 立花洋一

無観客試合におけるサポーター横断幕について

 貴社いよいよご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。

 さて、先日、「J リーグ新型コロナウィルス感染症ガイドライン」において、無観客試合では全クラブ統一でファン・サポーターの横断幕掲出を禁止するというルールが発表されました。先般の実行委員会で多くの時間を割き主張させて頂いた通り、浦和レッズは、この決定に対し「反対」であることを、改めてお伝えさせていただきます。せめて統一ルールではなく、各クラブ判断とするべきだと考えます。

 言うまでもなく、ファン・サポーターの存在はサッカー界にとって宝であり、選手がプレーするのは彼らのためであり、彼らの情熱こそがフットボールの魅力です。そして、その魅力によって、中継が入り、放映権料収入となり、スポンサーからの協賛金も付きます。つまり、事業面から捉えるとファン・ サポーターは利益を生む原点だと言えます。

 私たち浦和レッズは先日ホームスタジアムで久しぶりの対外試合を無観客の形式で開催しました。練習試合ではありましたが、無味乾燥なスタジアム、無力感漂う雰囲気などを感じ、この状態で 7 月 4 日 に再開する公式戦を盛り上げ、待ちわびたファン・サポーターに、本当に勇気と元気を届けられるのか、 違和感を強く感じました。

 無観客試合でのサポーター横断幕掲出禁止は、新型コロナウィルスの感染リスクが理由となっております。しかし、横断幕そのものの感染リスクは、既にガイドラインで掲出が認められているパートナー企業のバナー広告と何ら変わるものではないと考えています。もちろん、やはり認められている「段ボール」を用いた掲出物と比べて感染リスクが高いとは言い難いものです。

 また、掲出する行為において は、サポーターから直接受け取らない、掲出するまで 48 時間以上空ける(48 時間でウィルスは死滅す る)など工夫をすることで最大限リスクを下げられると考えます。それにも関わらずサポーターの横断 幕は禁止、バナーや広告、「段ボール」掲出は許可という決定は矛盾しており、納得することができません。

 村井満チェアマンは無観客試合を「最後の最後の手段」と主張されてきました。それが無観客試合と なった途端、感染リスクを大きく軽減する手段があるにも関わらず、リスクを前面にファン・サポータ ーの想いから背を背けるような J リーグの判断に日本サッカーの未来に不安を感じます。多くの J クラブがサポーター横断幕の掲出を嫌がっていることに加え、J リーグ自体も全クラブ統一ルールとして、 各クラブの異なる事情に応じたそれぞれの対応とすることを避けたことに対し、日本サッカー界の将来を憂います。

 クラブとファン・サポーターは一緒に勝利を目指し、共に苦しみ、共に喜び、時には共に悲しむ。苦 しい時には励まし合い、時には叱咤激励し合う。お互いにそんな存在であり、その先に掴んだ結果にこ そ価値があり、真の喜びがあります。このような関係こそが真のフットボール文化であり、J リーグが目指してきた「あるべき姿」であると信じています。少なくともこれらは浦和レッズが目指すところです。

 無観客試合においても、ファン・サポーターの想いを背負うこと及びホームアドバンテージの一つと して、横断幕の掲出を許可するべきだということを浦和レッズはこの先も訴え続けていく所存です。

 以上

[ファン・サポーターの横断幕に関するご提言]

2020 年 6 月 15 日
J1・J2・J3 クラブ実行委員 様

浦和レッドダイヤモンズ株式会社実行委員
立花洋一

ファン・サポーターの横断幕に関するご提言

 貴社いよいよご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。さて、突然ではありますが、今後の日本サッカー界の在り方について、提言致したく、文書をお送りさせて頂きました。

 先日、長きに渡る議論を経て、「Jリーグ新型コロナウィルス感染症ガイドライン」において、無観客試合では全クラブ統一でファン・サポーターの横断幕掲出を禁止するというルールが発表されました。新型コロナウィルスの感染リスクが掲出禁止の理由となっております。先般の実行委員会で多くの時間を割き主張させて頂いた通り、浦和レッズとしては、この決定に対し「反対」であることを、改めてお伝えさせていただきます。せめて統一ルールではなく、各クラブ判断とするべきだと考えます。

 無観客試合でのサポーター横断幕掲出禁止は、新型コロナウィルスの感染リスクが理由となっております。しかし、横断幕そのものの感染リスクは、既にガイドラインで掲出が認められているパートナー企業のバナー広告と何ら変わるものではないと考えています。もちろん、やはり認められている「段ボール」を用いた掲出物と比べて感染リスクが高いとは言い難いものです。また、掲出する行為においては、サポーターから直接受け取らない、掲出するまで 48 時間以上空ける(48 時間でウィルスは死滅する)など工夫をすることで最大限リスクを下げられると考えます。それにも関わらずサポ
ーターの横断幕は禁止、バナーや広告、「段ボール」掲出は許可という決定は矛盾しており、納得することができません。

 言うまでもなく、ファン・サポーターの存在はサッカー界にとって宝であり、選手がプレーするのは彼らのためであり、彼らの情熱こそがフットボールの魅力です。クラブとファン・サポーターは一緒に勝利を目指し、共に苦しみ、共に喜び、時には共に悲しむ。苦しい時には励まし合い、時には叱咤激励し合う。お互いにそんな存在であり、その先に掴んだ結果にこそ価値があり、真の喜びがあります。このような関係こそが真のフットボール文化であり、J リーグが目指してきた「あるべき姿」であると信じています。少なくともこれらは浦和レッズが目指すところです。

 以上の観点から、浦和レッズとしましては、無観客試合においても一日でも早い再開を待ち望んでいたファン・サポーターの想いを背負うこと及びホームアドバンテージの一つとして、横断幕の掲出を許可するべきだということを訴え続けていく所存です。

 コロナ禍で苦しい状況ではありますが、この難局を乗り越えるために力を合わせるとともに、ファン・サポーターの想いも背負って、一緒に歩んでいければと考えています。

以上

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[取材・文:塚越始]

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