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【湘南】「前を向け」茨田陽生がネルシーニョから植え付けられた“武器”。古巣・柏にJ1の舞台で挑む

湘南の茨田陽生(C)SAKANOWA

「すごく怒られました。本当は守備のことで多分もっと言われなければいけない存在なのに――」

[J1 5節] 柏 – 湘南/2020年7月18日19:00/三協フロンテア柏スタジアム

 湘南ベルマーレの茨田陽生が7月18日、古巣の柏レイソルとの対戦をJ1で迎える。J2時代の昨季も大宮アルディージャの一員として対戦しているが、国内最高峰の舞台での“再会”に、特別な思いが去来する。

 ネルシーニョ監督は茨田にとって、柏トップチームに昇格した2010年、開幕スタメンに抜擢されるなど実力を評価してくれた恩師でもある。茨田はその期待に応えて実績を積み、その年のJ1昇格、そして2011年からJ1リーグ制覇など3年連続での主要タイトル獲得を果たす「黄金期」をともに築いた。

 茨田はネルシーニョ監督から学んだことについて語る。

「一番は、勝利のメンタリティのところ。1試合1試合の勝利にこだわり、まず次の試合に向けて100パーセントのコンディションを作ることを言われていました。そのうえで、勝ちに向かっていく。そこを常に求められていました。100パーセントではない時にはベンチスタートやメンバー外になることもありました。だから、まず試合に向かい100パーセントのコンディションを作ること、そこを大切にしてきました」

 また、心に残るのが、パスを受けたらまず「前を向け」と指摘されてきたことだ。

「ボールをもらった時、まず前を向かないと、すごく怒られました。自分の持ち味を分かってくれているからこそ、そういった指導をしてくれたと今思っています。ボールを受けた時には常に『前を向け』と言われてきました。それができずミスを二回すれば交代させられるぐらい厳しかったです。本当は守備のことで多分もっと言われなければいけない存在なのに、その攻撃の部分を常に言ってくれていました」

 特長を最大限に引き出そうとする。その指導が、茨田の天才肌のテクニックをより引き立てた。

 日立台(三協フロンテア柏スタジアム)でのJ1の戦い。29歳になったテクニシャンが、恩師の前でプレーする機会は訪れるか。

「(柏は)仕留めるところのしたたかさを常に持っているチーム。やはりネルシーニョ監督の指導の中で、そういったものが身に付いていると思います。前線の選手のコミュニケーションや連係があってくると脅威に感じます。昨年大宮の時も(ネルシーニョ監督の率いる)柏と対戦しています。どこで使わても、自分の持ち味を出していけたらと思います」

 湘南ベルマーレの茨田として、特別な一戦に挑む。もちろん、湘南のために全力を尽くし、前を向く――。

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[取材・文:塚越始]

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