新潟飲酒運転事件まとめ◎Jリーグに匿名通報◎公園で選手3人とスタッフ計4人飲酒◎ファビオは取り調べで練習休む「クラブに傷がつくなら説明したい」
アルビレックス新潟のサポーター。(C)SAKANOWA
是永大輔社長記者会見の議事録が公開。初動で混乱、「事案を一つと判断」「書類送検を受けて発表」を予定。
酒気帯び運転による道路交通法違反によりアルビレックス新潟のファビオ、ペドロ・マンジーの二人が10月16日付けで書類送検されたことを受けて、19日、新潟の是永大輔社長が記者会見を行った。その議事録が同日公開された。 これによって分かった事実をまとめたい。
▼飲酒は選手3人、スタッフ1人の計4人。場所は新潟市内の公園だった
9月17日、新潟市内の公園で選手3人とスタッフ1人の計4人が飲酒。ファビオが自家用車で来ていたことを、他3人はその時点で知らなかった。
「ちょっと 1 杯飲んだ」という程度ではない量の飲酒をしたあとファビオが自家用車で帰宅。ファビオ・マンジーが途中まで乗車した。
ファビオが帰宅途中の午前1時から2時の間に取り締まりを受け、酒気帯び運転が発覚。現行犯逮捕とはならず任意捜査となった。
その後、スタッフが玉乃淳GMに、ファビオが取り締まりを受けたと報告があった。
同日、是永社長と玉乃GMが警察に出向き、状況の共有、捜査協力の合意、選手の行動制限について確認。アルベルト監督に、選手とスタッフの練習参加、試合参加が可能なことを伝えた。
一緒にいた選手とスタッフに関して、氏名は公表されない。
その後、ファビオが練習を休むことがあったが、それは「取り調べを受けるため」(是永社長)だった。
また、アルベルト監督からチーム内の選手一人に、その話が伝えられていたという。
▼Jリーグへの匿名の通報があったと12日に連絡
10月12日、Jリーグから玉乃GMにこの件について問い合わせがあった。
是永社長によると「第三者からの通報というか情報だと聞いています」。Jリーグに匿名による連絡があり、それを受けての確認を受けた。
13日、玉乃GMがプライベートにかかわるため選手の具体名は伝えず、Jリーグにそういった事象があったとメールで報告した。
14日、是永社長が電話でJリーグに説明。15日の捜査がすべて終わった時点で、最初のプレスリリースが出された。
新潟県警からは「19日まで」と伝えられていたファビオとペドロ・マンジーの書類送検は、16日に行われた。
▼なぜファビオは練習に参加し、試合にも出続けたのか。
是永社長のコメント
「本来であればファビオ選手と他3人のケースを分けて考えなければいけなかったと思っています。当時、ファビオ選手以外の捜査状況が定かでなかったため、ただし一緒の場にいたことで一緒の事案だと、 4 人を一緒に考えてしまい、捜査中はファビオ選手も含めて、通常活動を許可する方針にしてしまいました」
「(発表の遅れについて)非常に混乱してしまったというのがあります。答えとしてはファビオのケースだけは先に出さなければいけなかったし、処分もしなければいけなかったのですが、事件を一つと捉えてしまったがために、誰が黒で誰が白か分かるまでは発表ができないと思ってしまったことが最大の間違いの要因だと思います。もしかしたら、例えばファビオをそこで発表していて、その間、1か月後にまたマンジーを、今回のケースで言えばマンジーの捜査が終わったので発表するというようなケースがあったのかもしれません。
「例えば、その時同席していたもう一人の選手も飲酒運転と認定されるかもしれませんし、マンジーはそうなりましたけれども、実際、最終的に警察の捜査が完了してそうなるまでは、僕らは結論を出すことはできないなというふうに思っていました」
▼対策防止策
・問題の発生原因は3点
1)会社としての組織ガバナンス
2)飲酒運転に対する認識の甘さ。特に外国人選手の文化間の相違による認識の違い
3)選手のメンタル状況などによる判断力の低下
※今後の防止策
コンプライアンス対策委員会、またはコンプライアンス対策委員室を設置。情報をいち早く社外役員、または監査役に報告する機能を作る。
飲酒運転に対する認識の甘さについては、飲酒運転を含むコンプライアンス講習を選手・スタッフを対象に、シーズン初めに開催。四半期に一度のコンプライアンス講習会を実施する。新加入の選手に対し、特に外国人選手に対して、集団講習に加え、個別の飲酒運転の啓蒙レクチャーを実施する予定。
選手のメンタル状況になどよる判断力の低下の意味については、トレーナーが月に一回、選手のメンタル状況を確認し、心配されるコンディションの選手に対して、適切なケアの担当者を選抜、配置しクラブが積極的にケアを試みる。
▼ファビオ本人は「クラブに傷がつくようなことがあれば…」
ファビオらは「本当に感謝しているからクラブに傷がつくようなことがあるならば、自分が行って説明する」と言っていたという。また、新型コロナウイルスの中断明けに負傷し、そこで家族とも離ればなれになり、精神的な難しさを抱えていたという。
▼是永社長、玉乃GMの進退について
議事録の内容は、文字だけを追うと、是永社長に対し「今でも『電気、水道、ガス、アルビレックス』と言えるか」など、メディア側の質問というより暴言でありイジメ的な発言も多くて(地元のメディアに対する記者会見ではあったものの)忍びない。
是永社長に徹底して辞任を迫る場面もある。しかもその意見を「サポーターの声」として伝えているのもややいただけない印象を受ける(このままだとサポーターの“総意”と受け止められてしまう可能性もあるか)。
是永社長は「ファビオとマンジーの飲酒運転に関わる出来事に関し、私が辞めても解決はしませんし、私が責任をとって、すべてを回収していく流れにしないと、解決はしない」と語り、まずこの事件から出たさまざまな問題に対応。先に挙げた対策室などの設置に取り組む。また、ファビオの取り調べもまだあるということだ。おそらくJリーグとの調整も行われる。
もしもファビオ単独であれば、警察から取り締まり翌日などに発表があった可能性もある。ただ(日本の飲酒運転の同乗者ほう助による罪まで知らなかった可能性のある)ペドロ・マンジー、さらに他2人の取り調べや関係性を捜査するため時間も掛かったようだ。
とはいえ結果的に酒気帯び運転の有罪が確定している選手が、6試合出場を続けたことになる。Jリーグの今後の対応も一つ注目される。
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[文:サカノワ編集グループ]