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【川崎】2冠達成も赤字5億8000万円の見込み、今季は「さらに厳しい状況」。強化配分金の廃止など響く

川崎フロンターレ。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

藁科社長が経営状況と展望を語る。「世の中が疲弊している時だからこそ、スポーツが、サッカーが、そして川崎フロンターレが不要不急のものではないと示したい」

 J1リーグ川崎フロンターレの2021シーズン新体制発表会が1月23日にオンラインで行われ、そのなかで藁科義弘が経営状況について昨季の見込みと今後の展望を語った。

 Jリーグと天皇杯を制した川崎の2021シーズンの最終売り上げは52億4000万円。入場料収入やグッズ売り上げの大幅な減収に伴い、2019シーズンの69億6000万円から約17億円、約25パーセントダウンになる見込みだ。営業損益は14億円減少して、マイナス5億8000万円と、クラブ設立以来初の大幅な赤字が予想される。

 藁科社長は次のように現状とともに、今季の展望を語った。

「経営は極めて厳しい状況になりました。優勝はしましたが、残念ながらこの苦境を乗り越えるには至りませんでした。そして2021シーズンは、さらに厳しい状況が続くものと思われます。コロナはまだまだ収まる様相がありません。クラブは今まさに今期の予算を検討しているとこですが、状況はまだまだ予断を許しません」

 また▽コロナ対策のため理念強化配分金の廃止▽企業の経営情勢悪化▽ホームの入場制限の継続――それらを要因に挙げ、先行きが見えず、あるいは昨季以上の打撃を受ける可能性も否めないと危機感を募らせた。

 そのうえで藁科社長は「しかし、これに負けるわけにはいきません。私たちはこの状況下であっても、常に優勝を争い、タイトルを目指すクラブであること。ホームタウンに元気と笑顔を届け続けることを忘れずに取り組んでいきたいと思います」と話し、今後は新たな取り組み、新ビジネスを展開していく意向を示した。

 加えて、川崎が大切にしてきた、全選手・全スタッフが川崎市内全域の商店街へのあいさつ回りも、今年は見送られることになった。クラブが大切にしてきた“つながり”の取り組みを思うようにできないというジレンマは確かに痛い。

 そうしたなかで、クラブはスローガン『New Front.』を掲げる。バンディエラ中村憲剛が引退したなか、獲得できずにいるアジアチャンピオンズリーグ(ACL)制覇を目標に掲げる。新境地へと突き進む覚悟を込めた。

 そして藁科社長は「コロナ感染拡大の影響がまだまだ大きいなか、私たちがやらなければならないことは何か? それは明日への希望や癒し、元気、笑顔を届けること。世の中が疲弊している時だからこそ、スポーツが、サッカーが、そして川崎フロンターレが不要不急のものではないと示したいと思います」と決意を示した。

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[文:サカノワ編集グループ]

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