「すごくメンタル的にへこんだ」天野純を奮い立たせた言葉。それに応えて掴んだ初勝利!
横浜F・マリノスの天野。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
前節2失点に絡んだが、指揮官から「チャレンジしたミス。気にするな」と励まされ浦和戦のピッチに立つ。
[J1 4節] 浦和 0-1 横浜FM/2018年3月18日/埼玉スタジアム
横浜F・マリノスのMF天野純が浦和レッズ戦、フル出場を果たしてリーグ戦初勝利に貢献した。扇原貴宏とバブンスキーの2ボランチのような形になるなど相手の出方に対応を変えながら、天野も中盤の主導権を握ることに成功した。
「これまではセカンドボールを拾われてカウンターを食らうケースが多かった。だから、僕らが上手く入り込んでシュートで終わりきろうと、上手く周りの選手に伝えながらできました。レッズは個の能力が非常に高いですし、そこで主導権争いで負けたら試合も勝てない。責任を持って球際にも行けました」
そのように天野は球際の攻防で互角以上に渡り合えたことを、勝因の一つに挙げていた。
前節3月10日の鳥栖戦は天野にとって”アンラッキーデー”とも言え、バックパスとハンドで2失点に絡み敗戦(スコアは1-2)を喫した。責任感が強い男だけに、人一倍の悔しさを感じながらこの1週間を過ごした。
「すごくメンタル的にへこみました。けれど、いろんな人が声を掛けてくれました。(ポステコグルー)監督も『チャレンジしたミスだから気にすることない』と励ましてくれて、本当にいろんな方々に支えられました」
背番号14はそのように周りの温かさに触れながら心を奮い立たせ、必ず恩返しをしようと心に誓ったという。
「でも、借りを返せるのはピッチの上でしかできない。そこで、やはりミスを恐れていては絶対にいけないと思いました。今日はピッチに立てる喜びを噛み締めながら、まず楽しんでプレーしようとしました」
そのように心を切り替え、改めてチャレンジ精神を持って臨んだ浦和戦。天野にとっても、チームにとっても価値ある、そしてターニングポイントになる「大きな1勝」を収めた。横浜F・マリノスのチームメイトや監督……まさに全員と掴んだ勝利だった。
「(新戦術について)どんなに負けても、監督はブレるなと言ってきました。自分たちも信じてやって来て、やっとスタートを切ることができました。ここから高みを目指していくだけです」
安堵のアマジュンスマイルを浮かべ、そして彼は前を向いた。天野純と横浜F・マリノスの本当の意味での2018シーズンが、ここから始まる。
取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI