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【仙台】道渕問題まとめ◎解雇の決め手は「写真」◎警察発表なく逮捕の事実は分からず◎「嘘」と捉えられても仕方ない一節◎選手の弁護士を信じるしかなく

仙台の道渕諒平。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

記者会見の議事録を公開、クラブの苦悩が色濃く滲み出る。

 J1リーグのベガルタ仙台は10月22日、20日に行ったFW道渕諒平の契約解除に関する記者会見の議事録を公開した。

 いずれもコンプライアンス(法令・団体規則の順守)に関する問題ではあったが、アルビレックス新潟の飲酒運転の事案よりも、男女間の問題であることから非常にセンセーションではあった。しかし仙台の件は、事件化したものの基本的にはプライベートの問題。そこにどこまでクラブが介入すべきか。その苦悩が色濃く滲み出る内容となっている。

 これまでのクラブの発表の中で疑問に感じられた点で、明らかになった事実などをまとめたい。

▼契約解除の理由は?

 この問題について、クラブはプライベートの問題であるため、相手方にも配慮し慎重に対応してきたという。では週刊誌の報道当日、なぜ、いきなり道渕の契約解除が決まったのか。クラブが認知していなかった事実が「理由」というが、具体的には何か。

 クラブは「掲載されていた記事の中に、写真やメールが入っていた点」と説明している。その後の説明などから、刃物を持った写真が一番の決め手になったことが報告されている。

「逮捕やドメスティックバイオレンスだけだと、刑罰法規に抵触するというボーダーラインには至らず、もしかすると契約解除には至らなかったのではないかと思います。しかしながら、ベガルタ仙台のアカデミーにはたくさんの子供たち、その保護者の方々がいらっしゃるのですが、とてもその方たちには見せられない写真が掲載され、契約解除条項にあたるという判断にいたりました」

▼「重い処分」とは?

 8月に道渕と女性の示談が成立した際、クラブは彼に「重い処分」を科すとともに誓約書を書かせたという。その「重い処分」の内容だが、クラブは「処分の内容については、プロサッカーチームで多くの選手と契約しているということもありますので、控えさせていただきたいと思います」とのことで、金銭的な面での厳罰があったと見られる。

 また8月17日から9月7日までは「自宅待機」にされた。その際、「公式戦を何試合か欠場したあと復帰した時、離脱理由について『腰の違和感が再発した』と答えていた。本人の判断か、クラブと申し合わせたものか」との問いに、仙台は「申し合わせるというよりは、そもそも腰に違和感があったのは事実です」と答えている。

 とはいえ、腰痛でその期間、自宅待機になることはまずプロチームではない。そのような言い分がまかり通ると、どのようにも事実は作り上げられるため、一つの「嘘」と捉えられても仕方がない。

 クラブに落ち度があったとすれば、そのあたりか。もちろんどのようにメディアに伝えればいいのかは難しいところがある。この時点から、どこかでリークされる、明るみになる危険も伴っていた。そこはJリーグとともに共有したい問題の一つだ。

▼「逮捕」は結局、警察からの“発表”がなければ分からず。

 道渕は9月7日午前、警察に「任意同行」され、午後に保釈された。その事実を受けて、8日からの練習に復帰した。そして試合にも出場するようになった。

 結局、議事録を読む限り、警察からの発表がない限り、「逮捕」の事実は他者には分らないということだ。

「(クラブは)8月14日に女性の関係者から連絡があり、本事案を認知しました。同日、強化本部とフロントで、二度三度当該選手から話を聞いております。男女間のトラブルであり、警察から、双方が一旦距離を置くようにと指導を受けました。警察の捜査進行を考慮し、8月17日に当該選手の自宅待機を決め、18日から対応しておりました。その後、(選手は)自身の弁護士と相談し、相手方の女性と弁護士を通じ話し合いました。

 9月5日に示談が成立し問題解決の報告を弁護士から受けております。

 示談が成立したものの、警察に(理由など)お答えいただけない状況で、9 月7日午前中に(当該選手が)任意同行で警察に行き、午後に釈放されたということを選手の弁護士から夕方に連絡を受けました。同弁護士からの説明では、逮捕状が執行され、その後すぐに釈放されたということです。弁護士からの説明のみで、警察からも処分内容の報告を受けておらず、確認をしてもお答えできませんとのことでした」

 そして「逮捕」のみでは、契約解除にはできなかっただろうとも見解が示された。

「警察からの伝達、説明がない中で、逮捕の事案を確認していない事はお分かりいただけるのではないかと思います。選手の弁護士から、『任意同行された』『釈放された』という内容が、9月7日の出来事の全てであります。 (こちらからの)『その間何があったのですか』という確認の中に『逮捕状を執行されたようだ』という話はありました。しかし、私どもが確認している事項ではございません」

「どのような警察、検察の判断があった場合に、契約解除するか、刑罰法規に抵触すると判断できるかが議論のポイントです。一般の民間企業、公務員では『起訴』をもって職を解かれるということが多いと理解しています。民間企業の中には酒気帯び運転などの『検挙』をもって職を解くという会社もあると認識しています。その一方で、『逮捕』だけで職を解かれるという例はあまり多くないと理解しておりました。

 当然プロスポーツクラブですので、お客様、ファンサポーター、スポンサーのみなさまの支えで生きており『起訴』をもって当該選手の契約を解除するというのは少し緩すぎると。『書類送検』をもって判断するという考えと、人気選手であるため『逮捕』という事で即契約解除もあるという議論を重ねたということです。

 軽微な事案ですぐに釈放される、検察庁に送致されないという事案の場合に、どうするのかが悩みどころで、弁護士の解釈によったと言われればその通りです。しかしながら、逮捕で即解雇が一般社会でなじんでいる処分なのかというところを検討した次第です」

 このあたりもまた飲酒絡みと異なり、男女間の問題(DVにより事件化しているわけだが)のため、線引きが難しいことが把握できる。

▼選手の弁護士の存在

 そして道渕の状況について、クラブは基本的に途中から選手サイドの弁護士を通じた話を信じるしかなかった。クラブとしては週刊誌で明るみになるまで、まさかそのような事態になっていた、とは思いもよらなかったに違いない。

 無論2017年にヴァンフォーレ甲府で同じ罪を犯しているだけに(示談により不起訴処分)、クラブの想像力も求められたわけだが、かといって、あくまでもプライベートの問題であり、契約しているクラブとして、どうこうできる問題でもない一面はある。

 今回も記者からの「選手の弁護士は、選手の立場を弁護し、権利を主張すると理解できるが。そちらをより所にしてしまえば、選手よりの判断になるのが一般的な考えかと思うが?」という質問に、フロントは次のように答えている。

「警察の情報が全くないなかで、警察の処分を分かりうる人間が選手本人の弁護士しかおらず、警察からも我々にお知らせがなかった場合、何をもって判断するかということです。私たちの情報は、選手の弁護士からしか入ってこないなかでの判断でした」

 加えて選手サイドの弁護士でも分かり得なかったこともあったに違いない。

――・――・――・

 選手の復帰を急ぎすぎたとは感じられる。被害者への配慮、本人の内面の治療を含め、非常に長い時間をかけて解決しなければいけなかった問題かもしれない。もちろん本人がそのようなプロセスを受け入れようとしなかった可能性もある。とはいえ誓約書にサインをして解決する問題ではなかった。

 とはいえユース出身である選手をなんとかして活躍させたかった。そのクラブの思いもまた伝わってくる。ただし一方で、被害者がいることも忘れてはならない。

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[文:サカノワ編集グループ]

 

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