勝因は「ひたむきの結合」。秋田が閃光を放ち、J2ホーム開幕の京都戦で勝利!
秋田の吉田謙監督。(C)SAKANOWA
茂平のゴールを守り抜く。「地域の皆さまがこの試合を盛り上げるため、ベンチを磨き、フラッグを掲げてくれました。その姿に選手は奮い立ちました」
[J2 5節] 秋田 1-0 京都/2021年3月28日/ソユースタジアム
今季J2に昇格したブラウブリッツ秋田がホーム開幕となった京都サンガF.C.戦、茂平のゴールを守り切り1-0の勝利を収めた。秋田は今季3勝目を収め、4位に浮上した。
シュート数は5本対18本、コーナーキックの本数も0本対9本。その数字が示すように、京都のほうがボールを保持してゴールに迫った。しかし秋田は全員で体を張り、球際に厳しく執着し、運動量で上回った。そのスタンスを貫き、勝利に値する内容を90分間示した。
秋田の吉田謙監督は、秋田県一丸の勝利だと強調した。
「秋田の皆さまが切り開いてくれた道を、選手・クラブがひたむきに走ることができました。ひたむきを結合して、チーム一体で走り抜けました。これからも秋田のために選手は闘ってくれると思います。ありがとうございました」
タレント力で上回り総攻撃を仕掛ける京都に、どういった点で上回ったか。吉田監督は「熱量。サッカーにかける情熱」と言った。
ハードワークを怠らず、一瞬たりとも集中を切らさなかった。その勝利への執着が茂のゴールに結実した。指揮官は「ボールを夢中で追いかける。追いかければ追いかけるほど、表裏一体で入れ違って攻められることもありますが、ボールを奪いに行く姿勢が素晴らしかったと思います」と熱く語った。
「秋田の皆様の温かい応援。昨日から雨が降るなか、ボランティアスタッフの皆さま、地域の皆さまがこの試合を盛り上げるために、ベンチを磨き、フラッグを掲げてくれました。その姿に選手は奮い立ちました。町の皆さまが声を掛けてくれて、選手は町のために。それが一つひとつながっていって、選手はひたむきに走り切れたと思います」
そのように吉田監督はこの歴史的な勝利を、秋田のためにと捧げた。
一方、京都の曺貴裁監督はスタジアムの雰囲気と秋田のハードワークを称えるとともに、前向きな敗戦だと受け止めた。
「得点のチャンスは今まで以上にありましたが、勝ちたい気持ちが強すぎるのか、ちょっと一拍おける余裕がないのか、そのへんは僕のマネジメントの責任でもあります。選手は一生懸命やってくれたと思います。これから始まる試合、この5試合で学んだことを生かして、まだ強くなれることを感じた試合でもありました。下を向かず、次へ向かいたいです」
強くなるための1敗。そうしなければならないと、指揮官も自問する。
「ロッカーで人が人をなじることはなく、自分に目を向けて、次に向かっていく雰囲気がありました。次に向かえるキッカケをロッカーで見ることができて、監督としてはそこをポジティブに結果につなげられるように頑張っていきたいと思います」
そのように両監督はそれぞれサポーターの心に訴えるような言葉で、この一戦を振り返っていた。秋田にとっては歴史的な1勝、京都にとっては「一歩進んで、負けたと思っています」(曺貴裁監督)という敗戦――。両チームともに4月、さらなる躍進を狙う。
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[文:サカノワ編集グループ]