「裁判で対抗するのもリスクや大きな労力」浅野拓磨の退団騒動、ウクライナでの『給与未払い』『不当解雇』を選手明かす
浅野拓磨。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
パルチザンは浅野を訴えると主張するものの、給与遅配の事実も認める。
日本代表FW浅野拓磨の給与未払いを巡るセルビア1部パルチザン・ベオグラード退団騒動は、国内外で多くの話題を集めている。パルチザンのFIFA管轄機関に訴えるという主張が伝えられる一方、とはいえクラブが契約通りの給与を払っていなかった事実も明らかになりつつある。事態がどのように収束するのかまったく見えずにいる。
基本的にいずれその国から去ることになる“助っ人”である外国籍選手が、給与未払いで泣き寝入りせざるを得ないケースは後を絶たずにいる。そのためFIFA(国際サッカー連盟)も「2か月」以上の給与支払いの遅滞が起きた際、その事実を確認したのち、クラブの改善が15日間なかった場合、選手の契約解除を認める規定を設けている。とはいえ、そのルールを悪用するケースもあり、またその後の新天地探しに影響も及んでしまう。それだけにセルビアリーグ2位の18ゴールと文句なしの結果を残していた浅野が、こうした行動を起こし、リーグとクラブの問題点をあぶり出した意味は大きいと言えるかもしれない。
そうしたなか、FC琉球、ギラヴァンツ北九州で活躍し、現在クロアチア1部のNKヴァラジュディンでプレーする浦田樹が、自身のツイッター( アカウントは @jworld0627 )を更新。2019年に所属したウクライナ1部リーグのFCゾリャ・ルハーンシクでの経験を綴っている。
浦田は次のように呟いている。
「僕もウクライナ時代に給料未払い、不当な契約解除などがあった。
僕以外の外国人選手4人も同じ扱いだった。
正直言って、話が通じないレベル。
ヨーロッパリーグに出てるクラブでもこんな感じのことが当たり前に起こるのが東ヨーロッパ。
裁判で対抗するにしてもリスクや大きな労力がかかる」
そのように、浦田自身はウクライナで「給与未払い」「不当な契約解除」にあった過去に触れている。最新の男子代表チームのFIFAランキングはウクライナが24位で、日本の32位を上回っている(クロアチア14位)。もちろん日本と同様その中心選手は欧州主要リーグでプレーしているとはいえ、そんな力のある国の1部リーグでもそのようなことが起きているのは、今回の浅野の件同様にやはり驚きだ。ちなみに、ブラジルをはじめ南米の選手が給与遅配のない日本のJリーグでプレーできることを“歓迎”するのも、よく耳にする話だ。
2019年夏、アーセナルFCからパルチザンへ勝負の移籍を決断。浅野サイドもクラブから指摘されているような“思い付き”で行動を起こしたわけではないはずだ。両者はどのような落としどころを見出すのか。
そして26歳のジャガー浅野はセルビアでの実績を引っ提げ、希望とする戦いの場(欧州主要リーグだと言われるが)で新シーズンを迎えられるのか。次なる展開はいかに――。
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[文:サカノワ編集グループ]