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プロ野球とJリーグ、『無観客』の形骸化に危機感。「やる意味あまりない」

NPBの斉藤惇コミッショナー(左)と Jリーグの村井満チェアマン(右)(2020年3月撮影)。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI

村井チェアマン「対応策もバージョンを変えつつある」

 NPB(プロ野球)とJリーグ合同による第31回「新型コロナウイルス対策連絡会議」が5月10日にオンラインで行われた。変異株を中心とした同ウイルスの全国への感染拡大が続くなか、一方、プロ野球、Jリーグともに、徹底した感染対策によりスタジアムでのクラスターはゼロに抑え込んできた。それだけに改めて政府が状況によって一律で緊急事態の地域に下す「無観客」での開催には、両団体ともに、それではプロフェッショナルとしての興行が成り立たないという立場を示した。

 NPBの斉藤惇コミッショナーは会議後のオンラインの記者会見で次のように語った。

「(緊急事態宣言の期間に指定された)5月31日でこの問題が抑え込まれればスケジュールを立てやすくなりますが、専門家の先生方の話では、第4波、第5波が来ることは確率的にはあるとのこと。サッキートブレーカー(様々な制約、ルール)をどこで外すのか、それ次第で変わるという話もいただきました。野球、サッカーをはじめ年間のスケジュールを立てて仕事をしている人たちにとって悩ましい問題。同じテーマに何度もぶつかりながら、政府、自治体、関係各機関と交渉をしてきました。無観客という感覚は例外中の例外であって、やる意味があまりないと思っています。お客さんが動かれるのと同体であり、どのようなスケジュールを立てていくか。いろいろな仮定を立てながら、まとめていく予定です」

 これを受けて、Jリーグの村井満チェアマンも次のように話した。

「プロの選手は試合競技日程を消化していくだけでなく、お客様とともに価値を作っていくという相互作用が強くあります。お客様がいてくれることにより選手が高いパフォーマンスを発揮する。そして選手の活躍が、多くの国民の方々に対して生きがいや張り合い、場合によっては免疫力を高める相互の作用があろうかと思っているなか、お客様とともに試合を重ねてきました」

 そのうえで、Jリーグは昨季無観客61試合、有観客1042試合、今年を含めこれまで1300試合を重ね、スタジアムでのクラスターは起きていないという現状を説明。さまざまな対策を講じることで、まったく対策を立てていない状況と比べて95パーセントのリスクを軽減できているというエビデンスを示した。

 一方、選手の感染者数はすでに昨年の数を超えている。村井チェアマンは「その対策としてオンサイト検査を相当数重ね、対応策もバージョンを変えつつあります。野球界と引き続き連携しながら努力を重ねていきたい。国民の健康維持のため、我々が取り得る様々な策を考えていきたいです」と、臨機応変に対策を講じていくスタンスを示した。

 今回は東京オリンピック開催と絡めた質問が中心で、専門家からは私見などが示された。また例えば東京五輪とパラリンピックが無観客での開催が決定した場合、それがプロ野球とJリーグにどのように影響するか、という質問に対して、両代表は現時点で仮の話はできない、まだそこまでのことは考えていないと返答した。

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[文:サカノワ編集グループ]

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