「詐欺の兆候」浅野拓磨、退団“事件”でパルチザン会長が主張
浅野拓磨。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
クラブ側の声。セルビア国外クラブが関与!?
繰り返される給与未払いを理由にセルビア1部パルチザン・ベオグラードとの契約を解除すると自身のSNSとブログで発表した日本代表FW浅野拓磨を巡り、この日本人アタッカーに対する同情や今後を心配する声が多く聞かれる。そうしたなかセルビアメディア『ダナス』はこのほど、外国人選手の置かれた立場を踏まえたうえで、パルチザン側の主張を掲載した。ミロラド・ブチェリッチ会長は背景にはセルビア国外のクラブ関係者がいて、「詐欺の兆候がある」と指摘している。
記事では、浅野がパルチザンを去ったことに加え、この『事件』が法廷で争われるという流れに、「パルチザンのサポーターのみならずサッカーファンはショックを受けている」と伝える。そのうえで、ブチェリッチ会長が、移籍のためにセルビア国外のクラブが関与した詐欺の兆候があると指摘している。
「サインされた契約のもと、私たちは裁判所とFIFA管轄機関、両方に訴えを起こします」と、浅野が一方的に契約を“破棄”したのは違反行為であると認めず、定期的に給与を支払っていたと主張する。
「私たちは彼のことを虐げ、脅し、屈辱を与えたと言われています。ただ今年に入り、24万ユーロ(約3200万円)を受け取っていますし、危機的状況には晒していません。彼は別の報酬額を請求しました。ただ一方的に契約を終了することはできません。契約不履行であれば、弁護士などを通じて警告の意を伝えるべきですが、そういった行動を起こしていません」
そのように会長は言う。もちろんクラブの顧問弁護士からもそういった見解を得ていて、「正当性」を主張しているのだ。
とはいえ、その言葉からも浅野への「給与未払い」があったのは確かなようだ。
ただ両者ともに「正当性」を主張し、しかも「争点」が契約内容、契約破棄の手続き、報酬面など多岐に及んでいる。それぞれどのような落としどころを見出そうとしているのか。円満とはいかなくても、浅野とともに改めて築いた名門パルチザンのブランドが損なわれない形での決着が望まれるところだが……。
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[文:サカノワ編集グループ]