【なでしこジャパン】浦和の塩越柚歩が東京五輪「18枠」へ颯爽デビュー「周りに助けてもらいながらの60分間」
なでしこジャパンデビュー戦、2得点・1アシストと結果を残した塩越柚歩。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSa
ウクライナ戦で2得点・1アシスト。高倉監督は「受動的ではない積極性」を求める。
なでしこジャパン(日本女子代表)の塩越柚歩(三菱重工浦和レッズレディース)がウクライナ女子代表戦、右サイドハーフで先発し、なでしこジャパンデビューを果たした。すると23歳のミッドフィルダーは先制点を含む2ゴール・1アシストを記録。東京オリンピックに向けて、最初の最後のチャンスで猛アピールした。
「周りに助けてもらいながらの60分だった」
塩越はそのように振り返った。開始5分、最終ラインの宝田沙織からの縦パスを岩渕真奈(アーセナル)が左サイドの深い位置で粘って中央へ折り返す。ニアに詰めていた菅澤優衣香(浦和)は「柚歩なら入ってきてくれる」とスルー。同僚でもある二人の息が合い、ファーサイドからゴール前に進入した塩越が完璧に合わせて決めた。
FIFAランキングは日本の11位に対し、ウクライナは31位。あくまでも参考の順位ではあるものの、その差はあっても、このゴールにつながった一連の流れは素晴らしかった。何より塩越の「ブチさん(岩渕)と優衣香さんのシュートがこぼれてくることが多い」と冷静に分析していたからこそ、ポジションをキープし、そして反応できた。2点目も岩渕のシュートブロックされたこぼれ球を塩越がキープし、難しいバウンドを抑えながら蹴り込んだ。何よりも『結果』として見える形でアピールにつなげたのは大きい。
とはいえ塩越のみならず、昨年の秋から新たに加わってきた選手たちは強豪との対外試合を経験していない。オリンピック本番では、体感では今回の対戦の倍以上は高い強度の相手に、勝ち続けなければいけない。そのレベルにこそ適応が求められる。
塩越はようやくなでしこデビューを果たした。高倉麻子監督もゴールという結果は称賛しながらも、「受動的ではない積極性を」と、さらなる“強さ”を求めていた。
結果は残した塩越だが、強度と積極性には課題を残す。それでも、なでしこジャパンに颯爽とした風をもたらした。中1日という日程を考えると13日のメキシコ戦で出場機会が訪れるかは読めないが、この追い風に乗って「18枠」の先へと突き抜けたい。それだけのポテンシャルと可能性は持っている。
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[取材・文・写真:早草紀子]