【JFAハウス】ハリルホジッチ氏が日本で残したラストメッセージ
3月14日、JFAハウスでの”最後”の記者会見に臨んだハリルホジッチ氏。(C)SAKANOWA
「プレゼントはしてくれない。私たちが希望を掴みに行く」
JFAハウス――。日本代表のハリルホジッチ前監督が日本代表メンバーを発表する際に恒例の長く時間をかけた記者会見を開き、そして先日は日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長がそのハリル氏の電撃解任を発表。明日12日には、日本代表の新監督に就任した西野朗氏が就任会見を開く。
日本代表に関する注目の発言が生まれてきたステージだ。ハリルホジッチ監督が最後に登壇したのが、3月14日のベルギー遠征のメンバー発表だった。
FIFAワールドカップ・ロシア大会まで、あと3か月。残された時間が限られるなか、ハリルはこんな決意を示していた。
「皮肉屋(ペシミスト)と言われそうだが、野心と勇敢さをもってこれからは強敵に臨まないといけない。ただワールドカップ本大会では、いろんなことが起こる。決して下馬評通りにはいかない」
下馬評通りにはいかない――。それこそがワールドカップの醍醐味であり、チャンスでもあると強調していた。
「グループ1、2位に入れるかどうか今は分からない。ただし、向こうからプレゼントをしてくれると思ってはならない。私たちで掴みにいかなければいけない」
この記者会見でハリルが何度も言っていたことが、「希望は自分たちで掴みに行かなければならない」だった。
「戦術、フィジカル、メンタル……かなりの準備をしてきました。私たちは希望を掴みにいく。そのための準備をしなければならない。小さなディテールにまで、これからはこだわっていかなければならない。(対戦国の分析のため)1月から様々なスタッフと仕事をしてきたが、きっと希望を掴めるだろうということです」
もちろん、ベルギー遠征のマリ、ウクライナとの2試合はあくまでも本大会に向けた準備だと言えたが、一方で、ハリルは本番と変わらぬスタンスで臨むとも語っていた。もちろん、そうした発言による対戦国との駆け引きがすでに始まっていた印象もあるが……そういった発言の背景にあるコンセンサスを日本サッカー協会を含めたチーム内で共有できていなかったということか。
E-1東アジア選手権からの一連の流れで、結果が伴っていなかったのは事実だ。ただベルギー遠征を受けて、例えば三竿健斗をボランチの一角に据えて守備を固めたりしたら、割とワールドカップ本大会でハマるかも? など現実的な戦い方のイメージも朧気に浮かんだりしてきていた。今となっては本当にそうしていたかどうかも、そもそもそのような戦術が正解なのか何なのかも分からないが。
いずれにせよ、ハリルホジッチ氏のその最後の記者会見での言葉には、いよいよこれから始まる――大海原を前にした船長のような希望に満ち溢れていた。
文:サカノワ編集グループ