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どうしたNHK?上空に舞うボールを追う。「カメラワーク」がトレンドワードに│東京五輪 日本×南アフリカ

南アフリカ戦、突破を試みる日本代表の久保建英。(Photo by Dan Mullan/Getty Images)

「野球かゴルフみたい」「AIカメラ?」

[東京五輪 GL1節] 日本 1–0 南アフリカ/2021年7月22日/東京スタジアム

 東京オリンピックのグループリーグ(GL)1節、日本代表が久保建英(レアル・マドリード)のゴールで、南アフリカ代表に1-0の勝利を収めた。日本は勝点3を獲得。中2日の25日、フランス代表戦で4-1の勝利を収めたメキシコ代表に挑む。

 南アフリカの選手2人・スタッフ1人から新型コロナウイルスの陽性判定が確認され、この試合当日まで開催可否も曖昧なままだった。

 しかし予定通りに試合開催が決定。天候にも恵まれて東京スタジアムでのオープニングゲームを迎えた。

 この日『NHK総合』(国際公式映像の制作は「オリンピック放送機構」)が放送したテレビ観戦をしていると、立ち上がりから間もなく、違和感を覚える。カメラがやけにボールを追って微妙にアップ映像にする。両タッチラインの幅で追いかける、いわゆる“一般的”なアングルとはいくぶん異なる。

 その違和感がやがて決定的になる。キーパーがパントキックを蹴り上げると、その上空に舞ったボールを追いかける。テレビ画面には、ボールしか映らない時間ができた。サッカーでは見たことがないアングルだった。得てして、ボールの動きを追い切れず、見切れる形になることも。

 また、ボールを持ったゴールキーパーにも寄り、「次」の展開が起きるGKの視線の先を捉えない。そのように将棋の一部盤面を映し出していくようなアングルが続き、ストレスも増えていく。実際、気分が悪くなりそうな視点の“揺れ動き”が続いた。

 SNSでも、今回のTV中継が大きな話題となった。ツイッターでは「カメラワーク」がトレンドワード入りしたほどだ。

 ホームランボール(外野フライ)やドライバーショットなどのボールを追うように、「野球やゴルフみたい」との指摘も。

 また、ボールを中心に追おうとしていることから「AIカメラでは?」との予想も。そして、こうしたコロナ禍で人員も最低限に割かなければならないため、「可能性が最も高い」と膝を打つ声も出ていた。

 今回は無観客で開催された。いわゆる「リモートマッチ」であり、小池百合子都知事をはじめ自宅観戦で盛り上がってほしいと呼びかけている。その頼みの綱である放送のクオリティが五輪の命運をも握り、このオリンピックを通じて、スポーツへの関心を高めるかどうかにも大きく影響してくる。確かにTV観戦で「忍耐」が必要になるのは苦しい(この日は試合展開も少なからず影響したが)。

 何より、この中継が国際映像として、世界中に発信されたのだ。

 例えば、2011年のドイツ女子ワールドカップ。なでしこジャパンの優勝の感動がドラマを見るようにしっかり伝わってきたのは、まさにサッカー文化が根付いていることを実証するような完璧と言えるカメラアングルがあったことも、要因の一つに挙げられた。

 この試合だけの「謎」なのか。あるいは他競技でも起こり得る「何か」なのか。いずれにせよ同局の次回サッカー中継では、明らかに改善が求められる。

注目記事:ゴール後に久保建英が送った『K』サイン、当事者は「寝てて見てないよ」

[文:サカノワ編集グループ]

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