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東京五輪なでしこ敗退、高倉麻子監督が記者会見「WEリーグが開幕し、小さい子供たちがサッカーを始めてくれること、そして選手たちがプレーを続けられる環境が必要だと思います」

スウェーデン戦後の記者会見に臨んだ日本の高倉麻子監督。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

「世界中の女子サッカーの急速な進歩の幅が、自分の計算とはちょっと違っていたのかなと強いて言えば思いますが――」

[東京五輪 準々決勝] 日本女子代表 1–3 スウェーデン女子代表/2021年7月30日/埼玉スタジアム2002

 東京オリンピック・サッカー女子の準々決勝、なでしこジャパン(日本女子代表)は1-3でスウェーデン女子代表に敗れた。国際大会で、今回またもインパクトを残せず。日本の高倉麻子監督は試合後の記者会見で次のように語った。

――試合を振り返って。

「ノックアウトステージに入った全く別の戦いのなか、スウェーデンは非常に調子のいいチームで、シンプルに高さや体格などでも難しい相手だと自覚し、それでも日本の良さをすべて出して戦っていこうと選手と話して臨みました。

 前半の早い時間で失点してしまったのは残念でしたが、選手たちはすぐ盛り返し、自分たちの武器で点を取り返して、お互いにいいところを出しながら、ゲームが進んだと思います。

 後半も同じように我慢して戦っていくなか失点し、重くなってしまいました。ただ選手たちは最後まで諦めず戦ったと思います。なかなか闘志が前面に出るタイプの選手が少ないなか、いろんな声がありましたけれど、選手はこの大会中、本当にすべてを懸けて戦っていたと思います。その点に関しては選手をたたえたいと思います。

 ただ、スウェーデンという素晴らしいチームに負けてしまい、自分たちに足りなかったことをまた日本として、選手自身として、しっかり捉えて、今後足りなかったを補い、良かったことには自信を持って進んでいきたいと思います」

――メダルを取るために誤算があったとすればどのような点か?

「足りなかったこと……。自分の頭で整理して答えるのは、非常に難しいです。

 世界の中で、日本がやっていくべきスタイルを考え、足りないフィジカル的な要素を補うため、選手が努力を重ねてレベルアップした部分もありました。自分たちのサッカーで世界に挑んでいく部分では、逆に表現できた部分もあると思います。

 世界中の女子サッカーの急速な進歩の幅が、自分の計算とはちょっと違っていたのかなと強いて言えば思いますが、決してまったく届かない位置にいるとは思いません。選手には、今までも十分努力してきていますが、この経験を決して無駄にせず、前へ進んでほしいと思います。簡単に倒れず、日本の女子サッカーが前へ進んでいくことを望んでいます」

――男子は欧州組が増えて個でも対等に渡り合えてきた。女子に長期的に必要なものとか?

「シンプルに強豪国のほとんどで、女子サッカーの人口は例えばアメリカであれば160万人プレーしています。ドイツも110万人と言われます。一方、日本は5、6万人というなか、秋にはプロリーグのWEリーグがスタートします。今回なでしこジャパンは小さい子供たちにメダルという具体的な夢を示せませんでした。WEリーグで選手たちがいいプレーをして、小さい子供たちがサッカーを始めてくれること、選手たちがプレーを続けられる環境が必要だと思います」

――就任時からの課題、それが解消できなかった。

「私が2016年に監督を引き受けた時には、二つの大きな課題があったと思います。一つは王座奪還。もう一つは世代交代を進めなければいけない事実がありました。私自身は選手の可能性をできる限り広げていこうと、時間をかけて、チームを作ってきました。

 そのなかで日本が何を武器にして戦うか考えた時、技術的な部分やコレクティブにサッカーができる部分であり、献身的にチームのために細かい理解力を深め組織的に戦えるところでありました。

 ただ、そのなかで足りないのはフィジカル的な要素。守備でも攻撃でもボックス内の強さは足りない部分だと思い、選手と話し合いながら、フィジカルキャンプなども行い強化してきました。ペナルティエリア内での失点シーン、そして自分たちが最後点を取り切れなった部分はフィジカル的な要素であり、上手さの部分が足りなかったとも言えますし、その部分に関して今後圧倒的な個の力は必要だと思います。育成の段階から、上手さに決定的な仕事ができる、させない要素を過大にして取り組んでいければと思います」

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[文:サカノワ編集グループ]

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