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【鳥栖】金明輝監督が復帰へ、実質1か月の指揮資格停止を経て「目の前の試合に全力で取り組む」

鳥栖、金明輝監督が復帰へ。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

行きすぎた指導。第三者委員会は「フロント、強化部、監督の権限範囲が不明確」と、管理体制の曖昧さ指摘。

 J1リーグのサガン鳥栖は8月11日、「金明輝監督の言動における調査と対応についての結果報告」と題し、6月の練習中に選手に対し同監督による選手への行き過ぎた行為があったことを受けて、これまで協議し決定した対応・対策を報告した。クラブは東京オリンピックの中断期間を挟む3試合、実質1か月の指導資格停止処分を下し、さらに第三者委員会にも検証をあおいだ結果、「監督は3試合の指揮資格停止及び当面の間の練習参加の停止(約1か月)という不利益処分を受けている。さらなる処分は不要であると判断」として、10日からの活動再開を認める方針を発表した。

 この事案が発覚したあと、クラブから佐賀県への推薦依頼の回答を受け、26日に第三者委員会が設置された。31日に第三者委員会が選手、スタッフ全員への聞き取り調査を実施。続けて8月2日、第三者委員会が監督、当該選手への聞き取り調査も行った。同日、クラブは選手説明会を開催。そのあと、第三者委員会から調査報告が提出され、それを受けて、鳥栖の福岡淳二郎社長らが決定事項を監督・選手に説明した。

 第三者委員会による報告書の要約は以下の通り。

[構成]
会長 牟田清敬氏(弁護士)
荒尾彰氏(佐賀商工会議所青年部会長)
土井志穂氏(佐賀県障がい者スポーツ指導者協議会会長ほか)

[目的]
2021年6月26日に行われたトレーニングで、選手のプレーがきっかけとなり、金明輝監督が対象選手を足払いし転倒させた。本件行為が発生した経緯、背景などを調査したうえで、金監督に対する処分について検討し、再発防止策を提言する。

[調査方法]
トレーニング動画の視聴、選手、スタッフからの事情聴取、監督からの事情聴取

[処分について]
監督の行為は口頭で指導することも可能であったにもかかわらず、過剰な指導となっている。この対応として、監督は3試合の指揮資格停止及び当面の間の練習参加の停止(約ひと月)という不利益処分を受けている。さらなる処分は不要であると判断する。

[再発防止策について]
事情聴取をして明らかになってきたのは、サガン鳥栖においては、フロント、強化部、監督がすべき権限範囲が不明確になっていること。その結果、その責任範囲も不明確となり、指導・監督する者が誰になるかも、分からなくなっていた。

 今後は、フロント、強化部、監督がそれぞれ対等な立場に立ち、各権限を明確にし、バランスのとれたクラブ運営を行って欲しい。

▼練習中、選手の「後方からの遅れたチャージ」が原因だったことも報告。

[前回発表した際に記載した「ラフプレー」についての補足説明]
試合形式の練習において、当該選手が相手方選手に抜かれそうになったところを、後方から遅れてチャージをかけて転倒させた。今回の案件では、当該選手が必死に取り組む中で起きた行為であり、相手方選手を怪我させようと意図したものではなく、危険性が極めて高い悪質な行為(いわゆるラフプレー)とまで評価されるものではなかった。

[監督への処分(すでに発表)]
・3試合の指揮資格停止(7/17名古屋グランパス戦、7/24セレッソ大阪戦、8/9FC東京戦)
・練習参加の停止(8/9まで)

[管理監督者責任に関する処分(すでに発表)]
・福岡社長と新里GMの報酬3か月間10%減俸(8月から10月まで)
・永井強化部長への厳重注意、再発防止策
・人権、リスペクト研修会等の実施
・クラブ内相談窓口の設置
・強化部の組織体制と管理体制の見直し

◎福岡淳二郎社長
「サガン鳥栖のファン・サポーター並びにスポンサーの皆様方、そして、いつも温かい応援をしていただいている関係各位の皆様方には、多大なるご迷惑、ご心配をおかけしたことを、心よりお詫び申し上げます。この度の当クラブ内で発生しました『適正範囲を超えた指導』につきましては、クラブとして二度とあってはならない行為だと深く反省しております。

 クラブ内調査及び第三者委員会による聞き取り調査結果等を踏まえ、当社取締役会において、今回の処分 と再発防止に向けた対策を協議いたしました。 今後、それぞれがリスペクトの気持ちを忘れず、スポーツの持つ公正・公平さを大切にしながら、改めて、サガン 鳥栖そしてスポーツを愛する皆様方の憧れ、地域の誇りとなれるよう、クラブ一丸となって成長していきたいと思いま すので、ご理解とご協力、そして、温かい応援をお願い申し上げます」

◎金明輝監督
「この度は、サガン鳥栖に関わる全ての皆様に、大変なご迷惑をおかけしたことを深く反省しております。 このようなことが二度と起きないように努めて参ります。サガン鳥栖が勝利するために、手段、方法をより工夫しながら選手、スタッフと協力して頑張っていきたいと思います。いつもファン、サポーターの方々に支えられているということを常に心に持ちながら、目の前の試合に全力で取り組んでいきたいと思います」

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[文:サカノワ編集グループ]

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