なぜ長友佑都のハンドは覆ったのか?VAR介入の条件と「新ルール」を改めてチェック
オマーン戦での日本代表のDF長友佑都。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
“脇が甘い”かどうかが、運命の分かれ目。
[W杯 アジア最終予選] 日本 0–1 オマーン/2021年9月2日19:10/市立吹田スタジアム
カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選第1戦、日本代表がオマーン代表に0-1で敗れた。この試合の後半立ち上がり、長友佑都が一度ハンドのファウルを取られたものの、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の介入によって、判定が覆った。改めてVARの介入する条件、ハンドの基準について整理したい。
後半開始直後の50分、日本の右サイドを打開されたあとのマイナスのクロスがファーへ流れる。するとそこでブロックした長友の左腕にボールが当たったとして、主審はPKを宣告した。
今回、W杯アジア最終予選の全試合でVARが採用。すべての得点に関わるシーンが、VARがチェックする対象である。
そしてVOR(ビデオ・オペレーション・ルーム)は、ノーファウル(=明らかな間違い)の可能性があるとして、主審にピッチ脇のモニターでチェックするOFR(オン・フィールド・レビュー)を推奨した。
そして主審は画面でチェック。長友の左腕が体とくっついていて、そこにボールが当たっていると分かる。そこで主審は「ノーファウル」と判定を覆した。
今回は国際サッカー評議会(IFAB)が2021-22シーズンに定めた、ハンドの新ルールとは関係なく、そもそも脇をしめていればノーハンドの対象である。
ただVARの登場により、逆に今回のようなケースで、少しでも脇が空いていればPKになっていた可能性もある。その判断は主審の裁量に委ねられる。
今季のハンドの解釈の改正ポイントは次の点だ。
・手や腕にボールが当たったとしてもそのすべてが反則になるわけではない。
・選手が手や腕を用いて体を不自然に大きくする基準に関し、それぞれの状況において主審が選手の動きに関連し、手や腕の位置が体を大きくしているかどうかの妥当性を判断しながら判定する。
前回改正では腕の位置など細かい点まで細かく言及されていたため、逆に現場でより的確に採用しようとするあまり混乱が生じてしまった。そのため、今回、詳細についての文言は省かれた。
判定は主審の裁量により委ねられ、ハンドはある程度「主観」でファウルかどうかも変わってくる反則の一つでもある。そのため、今回のように「明らかな間違い」の可能性がある場合、VARがOFRを推奨する。
一つの基準が、得点機に当たった腕が「大きなバリア」になっているかどうか。ただ、そのバリアの基準は、審判によって範囲が異なってくると言える。選手はプレーを止めたり、主審に主張したり、セルフジャッジでハンドだと判断してしまうことだけは避けることが求められる。
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[文:サカノワ編集グループ]