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WEリーグ初のさいたまダービー、乗松瑠華が立った特別な舞台。今季浦和から大宮Vへ移籍決断

浦和の菅澤優衣香と競り合う大宮Vの乗松瑠華。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

敗れたものの随所で気迫溢れるプレーを披露。

[WEリーグ 4節] 大宮 1-4 浦和/2021年10月2日/NACK5スタジアム大宮

 WEリーグ初となる「さいたまダービー」大宮アルディージャVENTUS対三菱重工浦和レッズレディース戦、ホームチームの大宮は1-4で敗れた。

 終了直後、大宮Vの乗松瑠華は顔を拭い、ふっと息をついた。

「ここまでプレーできるようになった姿を大宮のサポーターの皆さんをはじめ、浦和のみんなにも見てもらいたかったです」

 昨季までは浦和Lに所属し、今季大宮に移籍した。記念すべきこの最初のダービーに懸ける思いが人一倍強かったと言っても過言ではなかった。

 U-20日本女子代表ではキャプテンを務め、なでしこジャパンの新たな世代を担うタレントとして期待を集めてきた。その期待に応えるために日々苦しめられてきた右ヒザの手術を決断したが、その後の回復の道は決して平坦ではなかった。

 2019年の浦和Lには森栄次監督が就任。チームが生まれ変わるなかで焦りもあった。そしてもう一つ、乗松がこだわったのがセンターバックでのプレーだった。浦和Lではボランチでチャンスが与えられきたが、CBで勝負したい――その思いを抱いて決断した移籍でもあった。

 この試合、最終ラインで乗松は懸命に体を張り、浦和Lの攻撃を幾度となく跳ね返していった。安藤梢の進行を幅むチェイシングに、島田芽依の脅威を潰す察知力に、菅澤優衣香とのマッチアップ――乗松の気迫が随所で見えた。

 それでも昨季なでしこリーグを制した浦和から突き付けられた現在地。4失点は厳しい結果だ。ただチームとしての組織力を上げていくことで対抗できる要素は十分感じられた。

 もちろん課題を挙げればキリがない。劣勢を強いられながらも浦和Lに迫る10本のシュートを放ち、一矢報いるゴールも生まれた。

 ベテランや若手関係なく、意見を交わせるのが大宮Vの強みでもある。中でも乗松は最終ラインでありチームの新たな要として、その存在を認められている。確かな信念と適格な判断力、そしていつでも周りをサポートする大きな声。彼女とともにブレることなく突き進んでいけば、次のさいたまダービー、大宮Vがまた違う姿を見せてくれるはずだ。

試合直後の乗松瑠華。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
乗松瑠華。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

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[取材・文:早草紀子]

Posted by 早草紀子

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