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鹿島が4月わずか1勝から5月3連勝。内田篤人が現状打破へ強調していた「一つ勝つだけではなく」

鹿島アントラーズの内田篤人 写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

1勝を生かすための次の1勝。キッカケを掴むには「連勝すること」。

 鹿島アントラーズのDF内田篤人は4月28日のJ1リーグ11節の横浜F・マリノス戦のあと、その後のチーム状況を暗示するかのようなことを語っていた。

「(対戦した横浜FMもなかなか勝てなかったり)紙一重なんですよね。サッカーは本当に分からない」

 4月の鹿島はJ1とACL(アジアチャンピオンズリーグ)で、J18節の名古屋グランパス戦(〇2-0)での1勝しか挙げられなかった。選手、スタッフ、そしてサポーターがひとつ勝つことの難しさを改めて痛感させられ、もがき苦しんだ。

 常に緊張の続く試合が次から次へと続いたことの影響について、内田は「それは言い訳にならない。そのためにクラブも準備をしてきていたと思う。それに戦力は揃っていると思う、俺は」と語っていた。一方で、「タイトルを獲った選手もいる。でも獲ったから、また獲れるというわけではない」と、『鹿島だから勝てる』という甘い考えはなく、一つひとつ勝利を積み重ねるしかないのだと強調していた。

 そして内田は言っていた。

「キッカケがあれば変わる。一つのゴールだったり、連勝だったり。一つ勝つ、それだけでは変わらない。ここまで来るとね。連勝だね、やっぱり」

 まず「一つ勝つ」、その価値を持たせるためにも「連勝」が必要だ。その考えは、最近、内田のみならず鹿島の多くの選手から聞かれた。

 すると有言実行とばかりに、5月に入ると、鹿島はV・ファーレン長崎に苦しみながらも2-1の勝利を収め、浦和レッズとの白熱の一戦を1-0で制し、そしてACL決勝トーナメントの上海上港との第1戦で3-1と快勝。一転して3連勝を収めている。

 もちろん楽観した雰囲気はない。選手たちの間には勝敗はあくまで「紙一重」であり、「持続性」が重要であり、あらゆることが表裏一体だという危機感は漂う。

 久しぶりに1週間のインターバルを挟み、16日にアウェーでの上海上港とのACL決勝トーナメント1回戦・第2戦に臨む。さらに20日にホームで仙台と対戦し、ワールドカップに向けた中断期に突入する(6月6日に天皇杯2回戦は組まれている)。浦和戦から欠場の続く内田の復帰のタイミングは?

 連勝を続けられるか――。鹿島の選手たちは目の前のバトル、そして目の前の試合を勝つこと、そこだけに全力を傾けている。その一つの勝利が次の勝利もたらす。その好循環への手応えを掴み出しているのは確かだ。

取材・文:塚越始
text by Hajime TSUKAKOSHI

Posted by 塚越始

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