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【指導者の視点】ブラジル代表の華麗さを支える一流の献身。ミリトンやアウベスが見せた味方を助ける自然な振る舞い

攻め込むブラジルのネイマール。その華麗な攻撃を支えていた、チーム全体の献身も“一流”だった。(Photo by Kenta Harada/Getty Images)

地味だがチームを支えるプレーを自然と行い、より相手に対し優位に立ち、勝率を高めていた。

[キリンチャレンジ杯] 日本代表 0–1 ブラジル代表/2022年6月6日19:20/国立競技場

 サッカー日本代表がブラジル代表に0-1で敗れた一戦、今回は守備の献身や判断といった、「育成年代の選手や指導者がブラジルをはじめとした世界のトップに近づくために学べるプレー」にフォーカスしたい。無失点あるいは1失点のまま試合を進めるというプランを遂行できた日本だが、結果的に決定的なチャンスを作れなかった。FIFAランキング1位との対戦からたくさん学べるプレーはあったが、二つを具体的に取り上げたい。

1. ボールがない時の準備の早さ、正確さ

 個人技の高さがフォーカスされるブラジルの選手たちだが、ボールが来る前の準備(攻守ともに)が非常に早く正確だった。

 すごく地味なプレーだが、前半アディショナルタイム、エデル・ミリトンとマルキーニョスの両センターバックによるGKアリソンに対するサポートを挙げたい。 左SBギリェルメ・アラーナからアリソンにバックパスが入ったシーンで、2人のセンターバックはボールの移動中に相手からのプレッシャーがかかるアリソンに対し、ダッシュで横のパスコースを作っている。 結果的にボールは出てこなかったが、あっという間にアリソンに複数の選択肢が増えただけでなく、余裕をもって次のプレーの準備を促すこともできた。

 一人ではなく二人、しかも揃って瞬時に全速力で。味方を助けるうえで、非常に大切な一流の献身だった。

 このボールがない時の準備を、ブラジルの選手たちは様々な場面で常に自然と行っていた。普段からの習慣であり、身体に染み付いているものだと感じた。

2.守るべきものの理解、守備の個人戦術の高さ

[次ページに続く]

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