Jリーグ「声出し応援」一部再開、マスク着用率99.7%、“楽しかった”96%、野々村チェアマンが報告。NPB・Jリーグ新型コロナウイルス対策連絡会議
入場制限がかからないなかでの「声出し応援」実現は、まだまだ先か。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
「サポーターの皆さんに協力してもらえたこと、両クラブの運営担の努力もあり、しっかりやれたと思っています」
「第57回 NPB・Jリーグ新型コロナウイルス対策連絡会議」が6月20日に行われ、Jリーグの野々村芳和チェアマンから「声出し応援」の一部再開された検証試合のアンケート結果などが報告された。
ルヴァンカップ・プレーオフステージの鹿島アントラーズ対アビスパ福岡戦、そしてJ2リーグの東京ヴェルディ対いわてグルージャ盛岡の2試合が、まずJリーグの「声出し応援運営検証試合」指定ゲームとして開催された。ゴール裏など一部で、席の間隔を開けて、マスクを着用するなどルールを設けたうえで、コロナ禍に突入した2020年2月以来となる声出し応援が実現した。
野々村チェアマンも訪れた鹿島対福岡戦では、声出しエリアでのマスク着用率は99.7パーセントだったという。また、懸念された声出しが認められないエリアで声を出す人は見られなかったそうだ。野々村チェアマンは「サポーターの皆さんに協力してもらえたこと、両クラブの運営担の努力もあり、しっかりやれたと思っています」と感謝し、専門家や関係機関と連携しながら「少しずつ前に進めていきたいです」と方針を示した。
また、2会場でのアンケート結果について(詳細は21日発表)、「声出し応援できたことで楽しさが増した」と答えた人が96パーセント、「声出しが認められないエリアの人から見て、声出しはやはりあったほうがいい」と感じた人が91パーセント、「声出しが認められないエリアにいたが、声出しに参加したいと思った人」は71パーセントだったという。選手の声が聞こえなくなって少し寂しいという声も一部あった。
専門家チームの賀来満夫氏(東北医科薬科大医学部)からは、規制緩和の進んだ欧米では新型コロナウイルスの新たな変異株が検出されていて、感染者が増えつつあるものの、重症例が見られなくなってきていると報告があった。賀来氏は声出し応援について、「感染状況が確実に落ち着きつつあるなかでの客観的なデータが示されています。こうした実証データを踏まえながら進んでいくことは非常に重要であると再認識しています」と語った。
今後も「声出し応援運営検証試合」は実施されていく。
一方、エビデンスが貴重であるのは理解できるものの、これまでのところ声出し応援の実施された2試合での感染報告もなく、そういった状況は屋外での比較的人数の限られたゲームでは、ある程度予想された範疇でもある。むしろ例えばスタジアム内外で飲酒し声も大きくなる観客と鉢合わせになる帰路の混雑する交通機関のほうが、感染リスクでいえば断然高いのではないかという声も聞かれる(会場の内と外でのギャップ)。全国的に重症例もほとんどなく感染状況が落ち着くなか、フレキシブルに座席間隔を空けないなかでの声出し応援の実証など、より現実に即した対応も求められる。
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