【Jリーグ】裁定委員会が浦和に過去最高タイ2000万円の罰金。次回違反の場合「無観客試合」「勝点剥奪」。2020年大分戦からの繰り返しの行為を問題視
浦和レッズのエンブレム。(C)SAKANOWA
広島、横浜FM戦で掲げられた横断幕に込められた“不満”メッセージにも言及。
Jリーグ(公益社団法人日本プロサッカーリーグ/野々村芳和チェアマン)は7月26日、裁定委員会に諮問していた「声出し応援」の違反行為を繰り返していた浦和レッズに対する懲罰について、罰金2000万円とけん責の懲罰を決定した。今後、浦和レッズが再びサポーターの行為に起因する懲罰事案を発生させた場合、無観客試合の開催、または勝点減といった懲罰を諮問する可能性がある。
2008年に浦和レッズとガンバ大阪のスタジアムでのサポーター問題が起きた際、浦和に2000万円(G大阪に1000万円)、2010年に観客水増し問題を起こした大宮アルディージャに2000万円の罰金が課されており、1クラブに科される罰金額は過去最高タイとなる。
Jリーグの発表によると、ガイドラインにより禁止されている複数名・集団の「声を出す応援」が行われた行為に対するもの。
まず2022年5月21日、浦和対鹿島アントラーズの試合開始前である午後3時30分頃、スタジアム北車両門付近で、浦和サポーターが以下の行為を行った。
1)Jリーグ新型コロナウイルス対策ガイドライン(以下「ガイドライン」という。)において「声を出す応援」は禁止されているにもかかわらず、複数名(少なくとも60名)が、浦和レッズチームバスの到着の前後に、約10分間、集団で声を出して応援を行った。
2)ガイドラインで「マスクを着用する」ことが求められているにもかかわらず、上記1)に際し、一部の浦和レッズサポーターがマスクを着用しなかった(マスクを顎付近にずらして着用する等、口元をマスクで覆っていない行為を含む)
また7月2日、パナソニックスタジアム吹田でのJ1リーグ19節のガンバ大阪対浦和の試合終了間際である90+2分頃、同スタジアムのゴール裏ビジター席上層階で、浦和サポーターは以下の行為を行った。
1)ガイドラインにより「声を出す応援」が禁止されているにもかかわらず、複数名(少なくとも100人)が、約5分間、集団で声を出して応援を行った。
2)ガイドラインで「マスクを着用する」ことが求められているにもかかわらず、上記1)に際し、一部の者はマスクを着用しなかった(マスクを顎付近にずらして着用する等、口元をマスクで覆っていない行為を含む。)
科される懲罰は「けん責」、「罰金2000万円」。
また今回の決定については、浦和が2020年10月31日開催の対大分トリニータ戦でも同種事案があり「罰金300万円」及び「けん責」処分の懲罰を科されていて、短期間の間に違反が繰り返されたことも勘案された。
加えて5月13日開催の対サンフレッチェ広島戦、18日開催の横浜F・マリノス戦で、サポーターから提出された「フットボールに情熱を戻す決断は誰の責務? PRIDEを奪われたサポーターを無視して忖度を続けた結果、失ったものは何?」という横断幕の掲出申請を承認するにあたり、「サポーターが声出し応援の禁止などの規制に強い不満を抱いており、ガイドラインに違反して声出し応援等を行うおそれがあることが十分予見できた。それにもかかわらず、サポーターに対する十分な啓発や声出し応援を制止するための体制整備を行った形跡がおよそみられなかった」と言及している。
そして今回、鹿島戦での問題が起きたあと、浦和はJリーグからの再三の求めにもかかわらず、サポーターなどに向けた対外的なステートメントも発出しなかったことも問題視。「かつ声出し応援等を行ったサポーターに対する制裁処分の発動、声出し応援を制止するための体制整備等、同種事案の再発を防止するのに有効と考えられる対応も何らとらないまま、事案2(ガンバ大阪戦の問題)に至った」と指摘している。
そのうえで、Jリーグは次回、観客に関する問題が起きた場合は「無観客試合」「勝点はく奪」もあり得ると強調している。
「浦和レッズに対するサポーターの行為に起因する懲罰事案は、複数回に及んでおり看過できないものとなっている。
集団で声を出して応援することはサポーターによる応援の本質的事項に関わるものであり、声出し応援の禁止等のガイドライン遵守をはじめとする秩序維持にはサポーターの強い自律が必要であって、クラブには、これを促すための不断の改善努力が求められる。
短期間のうちに少なくとも複数回にわたり秩序を損なう行為を阻止できなかったことは重く受け止めざるを得ない。かかる状況はJリーグ全体への社会的信用の低下につながるものであることを再認識するよう要請するとともに、今後Jリーグも浦和レッズと共に再発防止に向けて対応するものの、浦和レッズが再びサポーターの行為に起因する懲罰事案を発生させた場合、無観客試合の開催又は勝点減といった懲罰を諮問する可能性があることを付言しておく」
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