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奈良の矢部理事長は元名古屋MF。天皇杯PKやり直しに「多くの葛藤があった」

(C)SAKANOWA

2回戦の”誤判定”でクラブが見解を表明。「やり直しに挑戦する」。

 JFL(日本フットボールリーグ)に所属する奈良クラブが6月15日、天皇杯2回戦の名古屋グランパス戦で日本サッカー協会から競技規定によりPKやり直しを通達されたことについて、見解を示した。

 見解は特定非営利活動法人奈良クラブの矢部次郎理事長と選手スタッフ一同の名前で、一旦は敗戦を告げられたことで、「経験したことのない絶望とやり場のない怒りがチームを襲いました」と心境を吐露しつつ、その通達が覆るまでにJFLのリーグ戦に臨んだことを記している。そのうえで「2 回戦(vs.名古屋グランパス)のPK 方式のやり直しに挑戦します」と表明した。

 内容的には、各方面の判断や今回の対応には理解を示している。一方、結果的に金久保の”ケンケンPK”は正当なキックであったと判定ミスを日本協会が認めたことで、嫌疑をかけられたことへの悔しさを示しつつ、選手たちは、競技者として、潔く全身全霊を尽くし、PK 方式の再度実施に臨むことを誓っております」と意欲を示している。

 矢部理事長は中谷勇介とともに、97年に奈良育英高から名古屋グランパス入り。同校の2学年上に楢崎正剛がいた。

 97年から2000年途中まで名古屋では出場機会を掴めなかったものの、そこで築いたベースを活かして、移籍先のサガン鳥栖ではゲームメーカーとして一時代を築いた。

 それだけに古巣との公式戦初対決での”歴史的勝利”が消えてしまったことで、矢部理事長の落胆ぶりも伝わってくる。ただ、この注目度の高さを、奈良クラブ一丸となったパワーに変えようという意気込みも伝わってくる。

 以下、奈良クラブの見解の全文。

「平素より、奈良クラブに格別なるご支援とご協力を賜りまして誠にありがとうございます。本件につきまして、奈良クラブの見解を述べさせていただきます。
私たちは天皇杯 JFA 第98回全日本サッカー選手権大会 2 回戦(vs.名古屋グランパス)のPK 方式のやり直しに挑戦します。

 このような決意に至るまでには多くの葛藤がありました。

 先日行われた天皇杯2回戦の勝利の余韻も冷めやらぬ2日後、日本サッカー協会より『主審の競技規則の適用の誤りにより、奈良クラブの敗戦とする』旨が通達され、経験したことのない絶望とやり場のない怒りがチームを襲いました。その通達が覆るまでの間には、JFL のリーグ戦が行われ、複雑な思いを抑えてプレーせざるを得ない状況でした。

 その後、日本サッカー協会より発表された『審判員の判定に関する審判委員会の見解について』において、『フェイントとして判定された金久保選手のキックは、正当なキックであった。即ち、主審の下した判定は誤りであった。』と報告を受けております。

 選手たちは、競技者として、潔く全身全霊を尽くし、PK 方式の再度実施に臨むことを誓っております。

 また、名古屋グランパス様には、これまでも私たちと友好的な関係を築いてくださっており、初めての公式戦での対戦の中で、フェアにプレーしていただき、私たちの力を存分に引き出してくださいました。試合後においても、本件に対し、真摯にご対応いただきましたことに感謝を申し上げます。

 日頃より活躍される審判員、審判アセッサー、マッチコミッショナーの皆様が、本件を糧に、更なる審判レベルの向上と競技規則の周知徹底をしていただき、2度とこのようなケースが起こらないよう願っております。これからも選手たちの真剣勝負の一瞬の輝きを裁いてもらいたいと望んでおります。私たち奈良クラブも、サッカーファミリーの一員として、ファン・サポーターの皆様に喜ばれるクラブを目指して参りますので、引き続き温かいご支援、ご声援を宜しくお願い申し上げます」

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