【日本2-1コロンビア】なぜ、PK+「イエロー」ではなく「一発レッド」だったのか?
香川真司 写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA
2016年に守備者のルールが”緩和”されたが、故意のハンドは対象外。
[ロシアW杯 GL1節] 日本 2-1 コロンビア/2018年6月19日/サランスク
FIFAワールドカップ・ロシア大会のグループリーグ初戦、日本代表が香川真司のPKで先制に成功した。スロベニア人のスコミナ主審は、ペナルティエリア内でハンドを犯したコロンビア代表DFカルロス・サンチェスに一発レッドカードを提示。開始早々から日本に大きな追い風がもたらされた。ルール改正により、エリア内でのファウルに関しては「PK+イエロー」が一般的になったのでは? しかし故意のハンドに関してはPKの有無にかかわらず、変わらず一発レッドが妥当だ。
2016年4月にサッカーのルール制定など重要事項を決定する国際サッカー評議会(以下、IFAB)が、「競技規則改定」を各国のサッカー連盟に通達した。
最も大きな変更点の一つが、PKについて。それまで「決定機阻止」は一発レッドカード(退場処分)になると括られていた。そのためペナルティエリア内で守備者がファウルを犯した場合、PKを与え、さらに反則をした選手が退場することになっていた。つまり、PKを与えたチームは、失点に加え数的不利で戦うことを余儀なくされた。さらにGKが退場した場合、フィールドプレーヤーをGKに代えなければならない三重苦を突きつけられた。
それでは守備者への罰則が重すぎる(特にGK)。そのため2年前の改定により、ボールにチャレンジしていた場合は、「PK+イエローカード」に”緩和”されることが記された。
例えば、GKが相手アタッカーと1対1になって飛び込みファウルとなった場合、それまでであれば「PK+レッド」だったが、2016年の改定以降は「PK+イエロー」となった。同様にDFがボールに行きながら足をかけてしまった場合も、「PK+イエロー」と判定されるようになった。
一方、ハンドに関しての規定はより細かくなった。「競技者が、意図的にボールを手や腕で扱う反則により、相手チームの得点、または、決定的な得点の機会を阻止した場合、反則が起きた場所に関わらず、その競技者は退場を命じられる」とも明文化された。さらに、故意にハンドをしようとして手にボールが当たらなかった場合も、イエローカードが出されることになった。
つまり、ペナルティエリア内で全てのファウルが、「PK+イエロー」になるわけではない。ボールにチャレンジしていないプレーに関しては、これまで通り、「PK+レッドカード」のままだ。
果たして本当にボールにチャレンジしていたのか、といったところで、判定がブレるケースなど課題はある。ただ今回のコロンビアのカルロス・サンチェスは、故意に手を使ったとして、レッドカードが提示された。
文:サカノワ編集グループ