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徳島まさかの新戦術、”BtoB”岩尾憲が首位撃破&7戦ぶり勝利もたらす

徳島ヴォルティスの岩尾憲 写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA

現体制初のリアクションサッカー採用。「できるだけボックスに入ってやろうと思った」とPKを獲得する。

[J2 21節] 徳島 3-0 大分/2018年6月30日/鳴門大塚

 徳島ヴォルティスで指揮を執って2シーズン目、リカルド・ロドリゲス監督が初めて守備に軸足を置く戦術を採用した。これまでは前線からのアグレッシブなプレッシングとショートカウンターを主体としてきた、この首位大分トリニータ戦では、自陣にしっかりブロックを作り、”受けて出る”リアクションに主眼を置いた。

 そのなかで4-3-3のアンカーを担ってきた岩尾憲が、5-3-2の「3」の左でプレー。大分のシャドーをマークしつつ、前へ飛び出すという役割を担った。

 すると狙い通り、12分カウンターを発動して前線に繰り出すと、徳島の背番号8がエリア内まで進入してシュートを放つ。と、これが丸谷のハンドを誘いPKを獲得。岩尾は16節の松本山雅FC戦でPKを失敗していたが、今回は冷静に沈めて待望の先制点をホームチームにもたらした。

 その後は大分の丸谷拓也が49分に二枚目のイエローカードで退場処分。これで完全に流れは徳島に傾き、島屋八徳、山崎凌吾とアタッカー陣が追加点を決め、連敗を4で止めるとともに、7試合ぶりの勝利を3-0のシャットアウトで飾った。

「勝ててホッとしています。(PKは)迷わず自分を信じて思い切り蹴りました。監督からは『ボックス・トゥ・ボックス』、相手のペナルティエリアから自陣のペナルティエリアまで走ることを期待されたので、できるだけボックスの中に入ってやろうと思ってやっていた。(先制点は)PKを決めたことよりも、カウンターであそこまで行けたことが大事だったと思っています」

 試合後、岩尾はそのように汗を拭って言った。

 浮上したものの暫定15位、7勝4分10敗20得点21失点で前半一巡目の対戦を終えた。

「状況はまだまだ全然変わっていないし、さらに良くなっていくために、練習をすること。この1勝でOKではなく、4連敗の悔しい気持ちをいつまでも持っていくことが大事になる」

 J1昇格を目指すには、大きく出遅れた。一つの目安となるプレーオフ圏暫定6位のモンテディオ山形とは勝点8差。決して追い付けない数字ではない。

 前から行く徳島、しっかり固める徳島――それを使い分けられれば戦いの幅は広がる。

 大逆襲で徳島がJ1昇格を果たした2013年シーズンの再来へ。”B to B(ボックス トゥ ボックス)”岩尾がこの日のようにハマれば、決して不可能ではないはずだ。

文:サカノワ編集グループ