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Jリーグ&プロ野球「無観客」から段階的動員も選択肢。専門家チームが提案

無観客から段階的動員も選択肢に――。写真は埼玉スタジアムで行われた2017年のACL決勝・浦和レッズ対アル・ヒラル。写真:徳原隆元/(C)Takamoto TOKUHARA

今回は18日J再開、20日プロ野球開幕は時期尚早「無観客を含めて延長すべき」という助言。

 公益社団法人 日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)と一般社団法人日本野球機構(NPB)が発起人となった「新型コロナウイルス対策連絡会議」の第2回会議が3月9日に行われ、医師ら「専門家チーム」から「18日に再開を控えたJリーグ、20日に開幕を控えたプロ野球、このタイミングで行うことに関して、延長することが望ましいという助言をいただきました」と、Jリーグの村井満チェアマンは説明した。12日が最終答申となるが、基本的には今回の中間答申を受けて、両団体ともに「延期」を前提に調整に入る。Jリーグはこのあと代表者会議を行い、4月再開を目指すが「無観客」も選択肢に加わってくる。

 準備の時間が必要――。専門家チームによると「中止」という決断は簡単にできる。しかしJリーグの18日再開、プロ野球の20日開幕へ、どうすれば実現できるかを考えて意見を出し合ってきた。

 しかし感染者が増え続け、さらなるクラスターを起こすリスクなど、どうしても排除しきれない。ただし「リスクをゼロにすることはできないが、できる限り減らすことができる。そのための準備期間が必要」(三鴨氏)と、可能な限り”万全”の体制を整えたうえで、再開・開幕を迎えるべきだという助言があった。

 つまり、現在は感染予防策、消毒、検温の体制など不足あるいは徹底されていない状況である。そうしたなかで全クラブが、具体的に来場者全員用の消毒液を準備できるか、体温37.5度以上の方への対応をどうするか(すでに入場券や年間パスを持っている場合の返金や代替策など)、来場者で発熱が把握できた場合、あるいは体調を崩した場合の救護体制……。そうしたことが徹底できたうえで、試合開催も可能になるのでは――といった意見が出された。

 また、仮にそういった環境が整ったとしても感染者が減らない状況が続いた場合、専門家チームの賀来氏は次のような提案もした。

「例えば患者さんの数が増えるなか、選手への危機感を徹底し、感染を防ぐようにして試合を行うのであれば、一定期間、無観客での開催期間を設ける。そして感染の状況を見ながら、(スタンドの)3分の1、2分の1など段階的に観客数を増やしていくなど、柔軟な体制も一方で必要かもしれません。『まったく開催できない』のではなく、例えば、観客のリスクを最小限に抑えるのであれば、無観客ということも当然あり得ると。そういったことは状況も見ていく必要はあると思います」

 そのように、無観客開催から段階的に動員をしていくというより現実的な提案が出された。

 一方、「無観客」での開催について、Jリーグの村井チェアマンは次のように語った。

「ミスも起こり得点が少ないうえ、コンマ1秒、コンマ1センチのところでプレーしているサッカーは、観戦者の声援や支援がものすごく後ろ盾になっています。今回(専門家チームから)は『無観客を含めて延期すべき』という助言だと理解しています。選手や選手の家族を守るための準備期間であり、こうしたなか、なるべく無観客ではなく、日程調整の中で進めたいと考えています。

 一方、(今回の新型コロナウイルス感染拡大に伴う)新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正案が13日にも成立されると聞いています。緊急事態宣言が発令された場合、お客様を入れた試合ができなくなるかもしれません。その場合、状況に応じ、柔軟に判断していかなければいけません。ファン・サポーターの皆さんとのコミュニケーションをクラブを通じて行うなか、解を見つけていきたいと思います」

 そのように無観客試合に基本的には否定的ではあるものの、選択肢としてはあり得るというニュアンスで説明した。

 また、NPBの斉藤コミッショナーは次のように語った。

「無観客とは、たくさんお客さんを入れてはいけない状況。まだ球場に集まることで、患者さんが増えるリスクがある。あるいはリスクは減っても、球場の設備等が全然揃わないといった状況下で、野球を開催できるのか。12球団と話すことになりますが、個人的な感覚ですと、最後の最後の選択。ほとんどありえない選択ではないかと思っています」

 Jリーグは4月再開を目指すことになった。ただ今回の専門家チームの話を聞いていると、無観客、あるいはスタジアムの一部開放からの再開が、現実的な選択肢に加わってきたと見ていいようだ。

専門家チームも加わって行われた第2回連絡会議を終えての記者会見。(C)SAKANOWA

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[取材・文:塚越 始]