鹿島が始動。岩政大樹監督「変幻自在に」。『シン・アントラーズ』へ変貌なるか
鹿島の岩政大樹監督。写真:上岸卓史/(C)Takashi UEGISHI
「最終的に一番高いところに立ってシーズンを終えたい」
J1リーグの鹿島アントラーズが1月6日始動した。岩政大樹監督が最初のトレーニングを行ったあと、オンラインによる取材に応じて、2023シーズンへの抱負を語った。
昨季は水際対策によるレネ・ヴァイラー前監督の入国の遅れにより、岩政監督がコーチとしてキャンプからシーズン序盤まで指揮。3月から引き継いで、チームは一時首位に立ったが、その後、エース上田綺世の退団が大きく影響し、成績も後退。そして8月、岩政監督が就任した。ただチームは一体感を高めたが劇的な改善とは行かず、結局リーグ4位で無冠に終わり、最後はACL(AFCアジアチャンピオンズリーグ)出場権も逃してしまった。
今季は監督として準備期間から迎える初めてのシーズンに。40歳の指揮官は、まず、鹿島のために闘う――という心を持った集団=チームとして戦っていきたいと強調した。
「非常に大きい責任があると思い、スタートを切っています」「最終的に一番高いところに立ってシーズンを終えたいと思っています」
目指すスタイルについて、常に主導権を握る、という点は変わらず。そのなかで、鹿島らしい変幻自在さを見せて、結果につなげたいという。
「相手を支配するのは、どこのチームも考えること。それができるところが優勝するチームです。そこは変わらず継続します」
昨季途中に何度かスタイルを変更したが、「シーズン終盤の戦い」をベースにスタートさせたいという。
「また、『支配する』とはいろいろな捉え方ができます。相手がボールを持っている時であっても、ゲームを支配する――。ペースをコントロールすることのほうが、今の戦術に合うのではと感じています。全てハイプレスに行くわけではなく、相手がボールを持っている時にもペースチェンジして、プレスをかけたり、守ったり、攻撃の時にはビルドアップしたり、速い展開で崩しに行ったり(メンバーを活用して)変幻自在にやっていきたいです」
そしてメンバーでは、昌子源、植田直通が復帰。さらに知念慶らが加わった。“新戦力”への期待を問われた指揮官は次のように語った。
「鹿島は伝統的に、ここに来れば選手が成長していけるという場所でした。成長するとはどういうことか。それをしっかり整理しての、今回の編成でした(※岩政監督は、補強に関して基本的に強化部に一任。「鹿島のために戦いたい」という選手を希望したという)」
「(昌子、植田の復帰について)僕が成長できた若い時、鹿島を体現してきた先輩たちがいて、一緒にプレーし、試合してきた中で、先輩たちに追いつこう、追い越そうとして成長していきました。僕は新しい鹿島を作るので、新しいFC東京でも、新しい川崎フロンターレでも、新しい別の何かを作るわけではありません。新しい鹿島。鹿島がどういうものかを知らずに何をもって成長すればいいのか、分からないですからね。
多くの若い選手たちが加わりました。何よりも、鹿島でプレーしたい、鹿島を勝たせたいという選手たちが集ってきました。そういう面では、成長が見込めるチーム、編成だと感じています。シーズンを通して、日々切磋琢磨して行っていきたいです」
伝統としっかり向き合いながら、“シン・アントラーズ”へ変貌を遂げていく。その重要なターニングポイントとなるシーズンに。その成長と進化の先、岩政監督はタイトル獲得を目標に掲げていた。