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「日本代表引退」ルールが必要? 欧州ではトラブルも

長谷部は代表引退を表明。本田も「最後のW杯になる」と想いを明かした。ただ海外では「代表引退」を巡るトラブルも起きている。写真:新井賢一/(C)Kenichi ARAI

長谷部が表明し、本田、酒井高も身を引く考えを示す。本人の意向が尊重される一方で――。

 日本代表の長谷部誠が7月3日、日本代表からの引退を表明した。大会前から決めていたと言い、その覚悟のもとでこのワールドカップ・ロシア大会を戦ったと説明した。

 また、本田圭佑もラウンド16(決勝トーナメント1回戦)のベルギー戦後、「これが最後のW杯になる」と明かし、酒井高徳も次回大会を目指すつもりがないと語っている。

 長谷部は日本代表に2006年に初選出され、10年のW杯・南アフリカ大会から3大会連続で主将を務めてきた。34歳という年齢でもあり、今後のチーム作りをも考慮した「宣言」。日本サッカー界への貢献度は計り知れず、まさに勇退と言える。決して現役引退ではないだけに、所属先のアイントラハト・フランクフルトでの戦いに懸ける想いも伝わってくる。

 一方、欧州では代表招集を巡り、何度か騒動が起きている。

 イギリス『テレグラフ』紙によると、2014年、31歳のフランク・リベリ(バイエルン・ミュンヘン)がフランス代表の引退を宣言。しかしUEFA会長でもある元フランス代表ミシェル・プラティニ氏が「ディディエ・デシャン監督が招集を希望すれば、リベリは拒否できない」と発言。「選手自身がフランス代表でプレーするかどうかを決めることはできない。監督が選ぶならば、来なければならない。それがFIFAのルール。拒否した場合、所属クラブのバイエルン・ミュンヘンでの3試合の出場停止を課す」と語っている(注:結果的に2014年以降、リベリはフランス代表に招集されていない)。

 同紙は次のように続ける。

 選手たちはA代表招集を受けさせるFIFAのルールがある。ただ通常は、代表チームの引退を表明した選手に関しては、その意思が尊重される。一方、2006年に33歳のクロード・マケレレが代表引退を表明したにも関わらず、フランス代表のレイモンド・ドメネク監督がW杯・ドイツ大会の後の試合に招集。所属先のチェルシーのホセ・モウリーニョ監督は「奴隷のようだ」とドメネク監督を批判した。

 そのように代表引退を宣言した選手と招集を巡るトラブルの事例を挙げていた。

 また、2008年の北京オリンピックでは、同大会がFIFA管轄ではないとしてバルセロナがリオネル・メッシのアルゼンチン代表への招集を拒否した。五輪期間中、チャンピオンズリーグ予選など重要な公式戦があったためだ。すると開幕2日前、CAS(スポーツ仲介裁判所)は「クラブが五輪に選手を派遣する義務はない」と、バルセロナの主張を認めたのだ。

 そこからバルサとアルゼンチン協会の話し合いが行われ、メッシの五輪に出たいという意向が尊重され、➀ケガをした場合の賠償金は支払う②親善試合には1年間招集しない、とする条件を加えて、エントリーが実現した(アルゼンチンは金メダルを獲得)。

 このすったもんだを経てFIFAは、ロンドンオリンピックから、オリンピックもFIFAの公式イベントに追加。FIFAは管轄大会(A代表のみならず、世代別国際大会も)での選手の拘束力を一段と強め(「FIFA理事会の特別決議に基づく、選手の派遣義務」)、各国協会・連盟にもその旨を通達している。

 すべてのサッカー選手の憧れでもある代表チーム。ただA代表に選ばれ続ける選手の重圧や負担は、想像すらできない。また所属先では中心選手でありながら、代表チームに選ばれ続けながらも、控えとしての時間が長い選手の心労やストレスも計り知れない。

 加えて日本代表の場合、欧州など海外組の選手は飛行機移動によるコンディションへの影響も相当だ。代表で戦うために、相当な覚悟を強いられる。

 また、ヴィッセル神戸に加入する34歳MFアンドレス・イニエスタもW杯・ロシア大会を最後に、スペイン代表を引退すると表明している。

 限られたスター選手に許されると言える「代表引退」の宣言。選手の意向はもちろん重要だ。ただ一方で、クラブチームとは全く異なる立場の代表監督に、選手を選ぶ権利があるという点もやはり尊重されるべきだろう。超一流の個性を統率するのもまた、強い責任感と困難を強いられる作業だ。例えば、選手のメディアへの表明のみならず、日本サッカー協会からの発表をもって公式見解にするなど、何かしらのルールが必要かもしれない。

文:サカノワ編集グループ

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