【浦和】鈴木彩艶の光る“何気ないプレー”。ピンチの前段階で防ぐ力│ルヴァン杯・湘南戦
鈴木彩艶。写真:早草紀子/(C)Noriko HAYAKUSA
スコルジャ監督もペナルティエリア内の守備を評価。
[ルヴァンカップ GS1節] 湘南 0–0 浦和/2023年3月8日19:00/レモンガススタジアム平塚
ルヴァンカップのグループステージ(GS)1節、浦和レッズのGK鈴木彩艶(SUZUKI Zion)が湘南ベルマーレ戦で今季公式戦初出場を果たし無失点に抑えた。試合はスコアレスドローに終わり、浦和は1ポイントを獲得した。
マチェイ・スコルジャ監督はペナルティエリア内の守備が文句なしだったと評価していたが、鈴木も「結果を求めていたので、(失点)ゼロに抑えらたことは良かったです。クロスの部分で、もう少し飛び出せたシーンがあったと感じています」と振り返った。
今季はリーグ開幕スタメンの座を目標にしていた。しかしスコルジャ新体制下では、経験のある西川周作の起用がまず優先された。
鈴木は昨年、東アジアE-1選手権で日本代表デビューを果たしている浦和の貴重な“金の卵”であり、まだ20歳(8月に21歳)。それでもすでにプロキャリアは実質4年目である。
むしろ彼が示したいのは、西川を上回るような圧倒的な存在感。それだけに、メンバーがターンオーバーされるこのルヴァンカップGSで、しかもピンチも限られたのは少々物足りなかったかもしれない。
何よりその190センチのサイズが目を引く鈴木だが、“何気ないプレー”も特長に挙げられる。
一つがポジショニング。ピンチの前段階でその危機を察知し、自身の守備範囲を把握したうえで、最も失点する可能性が低い位置どりを選択していく。
分かりやすかったのが7分、自陣での連係ミスからボールを奪われピンチを招いた場面。中央にボールが折り返されたが、シューターの動きを見切っていた鈴木は正対した時点で“失点しない”ポジショニングをとり、実際相手はキックミスでシュートを枠の上へ放った。
「守備陣の戻りも早かったですし、そこまでそのシーンはネガティブにとらえていなかったです。前半もいいポゼッションができていたので、(GKからの)攻撃の部分はよくできていました」
また空中戦の競り合いでは、そのフィジカルが生きる。体を先に“入れる”ことで、制空権を握る。
「シュート時に落ち着いて対応できていたので、クロスのところの準備もできていました。恐れず出ていけるのが自分の強み。このフィジカルで負けないところが武器です。そういった何気ないプレーですが、そのように防げるシーンを増やしていきたいです」
そして鈴木はこのあとカップ戦で結果を残しながら、リーグ戦でのチャンスを待つことになる。
「(リーグ戦に出られず)悔しさしかないです。こうしたチャンスで、とにかく結果を求めていました。シュートで防ぐシーンがなかなかなく、それでも飛んできた時にしっかり対応できるように準備していきます」
鈴木が一つひとつチャンスを掴みながらも――より高いレベルでの戦いに飢えている。