【ロシアW杯】「プレー時間最下位」本田圭佑らしさを雄弁に物語る「シュート数」
ロシアW杯日本代表での本田圭佑。 写真:新井賢一/(C)Kenichi ARAI
原口、宇佐美らを上回り、後輩たちへ突き付けた課題。
FIFAワールドカップ(W杯)ロシア大会、日本代表の本田圭佑のプレー時間は出場機会を得た18選手中最も短い「62分36秒」だった。
その中で、本田が記録したシュート数「4本」は、1位の乾貴士「8本」、2位の大迫勇也「7本」に次ぐチーム3位だった。先発の機会を与えられたアタッカー陣の宇佐美貴史、原口元気、武藤嘉紀、香川真司を上回っていたことになる。そして日本の背番号4はセネガル代表戦でW杯3大会連続ゴールとなる、値千金の同点弾を決めてみせた。
ポーランド戦で出場機会が訪れなかったように、彼がピッチに立ったのはいずれもゴールを期待された場面だった。直接FKを任されての惜しい1本もあった。日本の西野朗監督は就任時から「それぞれの特長を出すことを優先させたい」と語っていたが、その采配により、本田のゴールに向かう姿勢がより引き出されたとも言えた。
ただその限られた時間に、与えられた仕事を全うしようとした。実際、決勝トーナメントへの道を大きく切り開く1ゴールを決めてみせた。
彼は日本代表から退く意向を示し、「世界一になる目標を、若手に受け継げると思う」と語った。
「チーム最短出場時間」での「シュート数3位」。そして「1ゴール」。本田が最後のW杯で残した「記録」は、これぐらいやれるはずだ、やれないと厳しいぞ、という後輩たちへのメッセージが込められているように感じる。
彼がプロ入りしたとき、そして代表入りしたとき。これほどの成績を残すと、誰が思っていただろう。不器用を自認したうえで頂点へと登り詰めた。向上心の塊が臨んだラストW杯。本田らしさを雄弁に物語るデータだ。
文:サカノワ編集グループ